【旅エッセイ】
台中さんぽとデザインホテル
〈旅日記1〉 台湾(台北・台中)
4日目 午後
台北を出発し、台灣鐵路(台湾鉄道)に乗って台中へとやってきた。ホテルのチェックインにはまだ早い時間だったため、市中を散策がてらティータイム。
いわゆる観光名所にはあまり興味のないふたりだけれど、歴史的建築を見るのはとても好きだ。
日本統治時代に建てられたという「台中市政府庁舎(旧台中州庁舎)」の前を通りかかり、しばし立ち止まる。
台中市政府庁舎は現在でも使用されていて、土日は見学者のために開放されているのだそう。白い洋館は南国ムードにあふれていて、とても美しい。夜にはライトアップもされるとか。
中庭からの眺めもまた違って素敵だということを知り、次回はぜひ見学したいなあと思っている。道をはさんで建っている市役所もあわせて見たいところ。こちらにはカフェが併設されているらしい。
あちらこちらに建つレトロな建築がそうさせるのかもしれない。台中の街全体が懐かしいムードに包まれている。
心と身体が自然とゆるんでしまうような、南国特有の空気。台北とは明らかに違うそのスピード感が、「旅に来た」という思いをさらに強くしてくれる。
手をつないで青空を見上げながら、言葉少なに歩く。会話はなくともふたりで同じことを考えているのだろうな、と幸せを感じる。
さて、さらに街なかを少し歩いていくと、目的のお店が見えてきた。「タピオカミルクティー(珍珠奶茶)」で有名な「春水堂」の創始店だ。
上海に住んでいた頃に一時期はまってしまい、結構な頻度で飲んでいたタピオカミルクティー。市内には「一点点」や「happy lemon」などさまざまなドリンクスタンドがあり、味を比べるのも楽しかった。
今や大阪にもある「春水堂」だけれど、台中に来たからには本店にも行きたいと思っていたのだ。
入り口はとても混み合っていたものの、待つことなく席につけた。中国語と英語で書かれたメニュー用紙に記入して、レジで代金を支払う。
壁には、ポップなイラストや紹介パネルなどが所狭しと貼られている。
店内ではお茶だけでなく軽食をいただくことも可能だ。食事をしている近くのお客さんたちに、つい目がいってしまう食いしん坊ふたり。
ほどなくして、タピオカミルクティー&ジャスミンミルクティーが運ばれてきた。
ホットを注文すると、ただのミルク紅茶にしか見えないことに気づいたけれど…おいしければそれでよし。
ぷるんとした大粒のタピオカがたくさん入っていて、なかなかおいしい。ただし甘さは注文時にリクエストして控えめにした方が、飽きずに飲めると思う。
夫とふたり、夕方からの予定についてあれこれ話しながら過ごすティータイム。台中の街に流れるゆったりとした空気は、時間を忘れさせてくれる。
ミルクティーを飲み終わり、ホテルに戻ってチェックイン。ロビーや客室フロアのデザイン、やっぱり素敵だなあ。
1969 Blue Sky Hotel(1969藍天飯店)の客室は、シンプルだけれど気がきいていて好み。
部屋に置かれたアイテムは一見テイストがばらばらなのに、不思議と調和している。
私たちが宿泊したラグジュアリールームは、バスタブはないものの、全体的に余裕をもたせたつくり。アメニティをはじめ各種アイテムもひととおり揃っていて、特に不足はない。
もちろんWi-fiも完備。調べものをするくらいなら困ることはないはず。
何より、旧市街の行きたいスポットにはだいたい歩いていけるというロケーションが魅力的。
宿泊料金は朝食込みでレストランも素敵だったのだけれど、外ごはんのためにパスしたので味は不明。いつかまた泊まれたらいいな。
夕方からのお出かけに備えて、少しだけ身体を休める。