台湾・端午節の伝統グルメ「粽子(台湾ちまき)」とワインの楽しみ方 おすすめペアリング【季節の行事】
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台湾の端午節について
台湾では毎年、旧暦の5月5日(現在の暦で6月のはじめ頃)にあたる日が端午節とされ、春節(新年)、中秋節とならぶ三大節句のひとつとして大切にされています。端午節に行われる伝統的な風習はいくつかあり、その代表的なものといえば「ちまきを食べる」「ドラゴンボートレース」などが挙げられます。
筆者の住む台南では、先日の端午節の三連休に合わせて安平運河でドラゴンボートレースが行われていました。たくさんのチームがドラゴンボートでそのスピードを競い合い、川沿いにはそれを応援する人々が集まり大盛況でした。
そのほかの風習に「正午12時に卵を立てる」「玄関や窓に魔除けのヨモギ・ショウブを飾る」などがあります。台湾の端午節が無病息災を願う日となっているのに対して、日本の「端午の節句」は子どもの日とされているのがおもしろい違いですよね。
本記事では、台湾の端午節に人々が食べる伝統グルメ「粽子(台湾ちまき)」について、台南でみつけた台湾ちまきにまつわる風景、そして台南でワインショップをオープン予定の私たちが提案する、台湾ちまきとワインの楽しみ方についてご紹介していきます。
台湾・端午節の伝統グルメ「粽子(台湾ちまき)」
台湾の端午節の行事食とされる「粽子(台湾ちまき)」。端午節が近づくにつれて、市場にさまざまな種類のちまきが並ぶようになり、屋台もあちらこちらに出現します。今は台南に住んでいる筆者ですが、台湾(最初は台北)に引っ越してきてからこの時期を夫とふたりでいつも楽しみにしています。
台湾のちまきはバラエティ豊かで各地にさまざまなタイプのものが存在しますが、台北を中心とする台湾北部ではいわゆる「北部粽」が食べられており、台南ほか台湾南部では「南部粽」が食べられています。調理法やトッピングも異なるので、旅行で訪れた際には、各地のちまきを食べ比べてみるのもおすすめです。
調理したお米に具材をのせて包んで蒸す「北部粽」については、下記の記事がありますのでこちらをご覧ください。
台南でみつけた「粽子(台湾ちまき)」いろいろ
台湾南部で食べられている「南部粽」は、生米と具材を包んで鍋で煮るのが一般的です。スーパーマーケットに行けば多種多様なちまき(冷凍)を買うことができますが、せっかくならてづくり&できたてのちまきが食べたい!というわけで、私たち夫婦は台南にあるいくつかの市場を巡ってちまきを探してみたのでした。
台南の中心部に位置する伝統市場「水仙宮市場」では、端午節の少し前からちまきを売る屋台が増えてきて、端午節当日に向けて予約販売を受け付けているお店もありました。市場の一角では女性たちが座ってちまきを包んでいるようすを見ることができました。竹の皮や笹の葉を三角状にして生米や具材を詰めていき、これを鍋で煮たらできあがりです。
台南には毎日夕方からお買い物ができる「黄昏市場」がいくつかあるのですが、東区にある「崇義黄昏市場」では端午節の期間にだけちまきのお店がオープン。ここでは肉粽(肉入りちまき)をはじめ、ベジタリアン用の「素粽」、ナッツ類や栗の入ったタイプなどがそろい、充実のラインナップでした。サンプルが並んでいてどんな味かイメージしやすいのも、買う側にとってはうれしいものです。
市場以外の場所、たとえば民家の軒先などでも、おばあちゃんたちが座ってちまきを包んでいるのを目にしたり、玄関にたくさんのちまきが吊るされていたり。日本人の私からすると、毎年大量のちまきをてづくりするのは大変そうだなあという思いが先行してしまいますが、同時に、昔から変わらない伝統的な風習が今も残っているのは素敵だなとも思うのでした。
日本でも冷凍タイプのちまきが販売されているので、ご興味のある方はぜひ一度試してみてくださいね。
「粽子(台湾ちまき)」のおいしい食べ方
台湾ちまきを購入した後におうちでおいしくいただくなら、やはり温めるのがいちばん。私たちは蒸し器で20分ほど温めてからいただくのが定番です。台湾に住んでいる方なら、電鍋で蒸すのもポピュラーな方法だと思います。またより気軽な方法としては、皮に包まれたちまきを水でぬらしてからレンジで加熱するのもOKです。
一般的な肉入りちまきなら、何もつけずにそのまま食べても十分おいしいです。途中で味に変化をもたせたいときは、台湾のとろみ醤油(醤油膏)や唐辛子ソース、スイートチリソースなどをかけるのもおすすめ! ちなみに南部ではピーナツ入りちまきにたっぷりのピーナツパウダー(砂糖入り!)、刻んだ香菜、とろみ醤油をトッピングするのが一般的です。
今年の端午節は私たちもいくつかのお店で異なるタイプのちまきを買って食べ比べてみました。そのなかで特においしかった2つのちまきを、合わせたお酒(ワイン)とともにご紹介したいと思います。
おすすめ1 甘じょっぱい豚肉が主役の「肉粽(肉入りちまき)」
台南の永康区で毎日午後から開いている「尚青黄昏市場」。こちらでは、「古早味(グーザオウェイ/伝統的な、昔ながら、などの意味)」と書かれたちまき屋さんの看板をみつけました。店主さんに聞いてみると、ちまきは「肉粽(肉入りちまき)」と「菜粽(ピーナツちまき)」の2種類。そのほか、普段はおこわやもちなどてづくりしたものを販売しているそうです。
ヒモでつながれたちまきはずっしりとしていて、1つ食べるだけでお腹いっぱいになりそう…! 私たちが選んでいる間にも大量に購入していくお客さんたちが複数いて、端午節に向けてみんな準備しているんだなあと思いました。
「肉粽(肉入りちまき)」に合うおすすめワイン
さて、市場を後にして自宅に帰り、さっそく蒸し器でしばらく温めてからちまきをいただくことに。お皿にうつして台湾のとろみ醤油をかけ、唐辛子のソース、香菜、刻んだねぎをトッピングしてみました。
「どんなワインが合うかな?」とふたりで相談して一致したのがシェリー! シェリーはスペインの酒精強化ワインで、紹興酒のような香りやほんのりと感じる塩気が特徴です。もともと台湾料理との相性がよいシェリー、いくつかの種類を飲み比べてみた結果、いちばん合うのはアモンティリャードでした。
シェリーのアモンティリャードは、琥珀色をしていて適度な甘みとコクがあり、酸化熟成を経たお酒特有のナッツのような香りも魅力。煮込んだ醤油味の豚肉、鹹蛋と呼ばれるあひるの卵黄の塩漬け、ピーナツが入った「肉粽(肉入りちまき)」と具材に共通する味わいや香りがあるので、まさにベストマッチでした♪
台湾料理はもちろん中華のさまざまなメニューにも合いやすいシェリー、おすすめです。
おすすめ2 旨みたっぷりでぜいたくな「干貝海鮮粽(貝柱入り海鮮ちまき)」
別の日のこと。北区の「和緯黃昏市場」に立ち寄った際、いつもはお惣菜を販売している屋台にちまき屋さんが出店しているのを発見しました。こちらはちまき専門店ということで7種類から選ぶことができ、それぞれの中身が書かれたメニューもあってどれを買おうか悩みました。
海鮮好きの私たちは、1つ150元とほかに比べてややお高めな「干貝海鮮粽(貝柱入り海鮮ちまき)」を購入してみることに。「尚青黄昏市場」で買った「肉粽(肉入りちまき)」よりもひとまわり大きい海鮮ちまき、どんな味がするのだろう?とワクワク。
「干貝海鮮粽(貝柱入り海鮮ちまき)」に合うおすすめワイン
その日の夜は台湾料理ディナー。まずはハイボールとともに前菜を楽しんで、後半にちまきを蒸してからゆっくりと味わいました。煮込んだ醤油味の豚肉、鹹蛋と呼ばれるあひるの卵黄の塩漬け、ピーナツが入っているのは肉入りちまきと同じですが、それらに加えて大きな貝柱、栗、しいたけもゴロゴロと入っていてとても贅沢。
貝柱の旨みがたまらない海鮮ちまき。もち米の味つけも薄すぎず濃すぎずちょうどよい感じで、飽きずに最後までいただくことができました。来年もまた同じお店が市場に出てくるなら、必ず買いたいと思えるおいしさでした…!
いろいろな具材の旨みがとけこんだ海鮮ちまきに合わせたのは、フランス・ジュラ地方の自然派白ワイン。ぶどう品種はシャルドネなのですが、ジュラワインの持つ独特のミネラル感、洗練されていながらも複雑な味わいがちまきにぴったり!
私たちが今回ちまきに合わせたワインは日本であまり見かけたことがないのですが…フランス・ジュラ地方のシャルドネとシーフードメニュー(中華)の組み合わせ、おすすめです!
おわりに
端午節に味わうイメージが強かったちまきですが、台南では通年ちまきを食べられるお店がたくさんあります。来年の端午節を楽しみにしつつ、台南のおいしいちまき&お酒とのペアリングをこれからも探求していきたいなあと思うのでした。
【お知らせ】
日本向けの台湾食材オンラインショップ「Taiwan Naturel by ARIORI(タイワンナチュレルバイアリオリ)」をオープンしました。美食とお酒が大好きな私たち夫婦が愛用している、メイドイン台湾のさまざまなフード&ドリンクアイテムをセレクトして販売します。今回の記事でご紹介している調味料や食材も一部ショップにて販売していますので、各リンクをご覧いただけるとうれしいです。
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