【旅エッセイ】台北から台中へ
台湾鉄道を楽しむ

旅とエッセイ

〈旅日記1〉 台湾(台北・台中)

4日目 昼

この日は台灣鐵路(台湾鉄道)に乗って、台中へ向かうことになっていた。

宿泊ホテルを後にして、台北車站(台北駅)へ歩く私たち。改札をくぐる前に、お目当ての臺鐵便當(駅弁)を探して駅構内をうろうろ…

駅の西側売店にて欲しかった種類を見つけ、無事に購入できた。ついでにコンビニエンスストアでビールも買い、車両に乗り込む。

台湾の鉄道システムは日本とほとんど変わらず、とても快適だと思う。ホームや車両、座席、どこか懐かしい感じがするのもいい。日本で地方の観光列車に乗っているような、のんびりとした空気がとても好きだ。

台北から台中までは1時間ほどで、あっという間に到着してしまう。食事のペースがゆっくりな私たちにとっては、食べ終われるか不安なくらい。指定の座席に座って、おもむろにビールで乾杯!

夫との食事は、とても楽しい。食材の話からはじまり、調理法や味つけについてあれこれ言い合いながらお酒をちびちび。

「これならうちでもできるね」「これはこうした方がいいかな?」「こんな風にもアレンジできそう」など、自宅でもお出かけ先でもおしゃべりし続けるのがいつもの流れ。

アイデアを交換したり、時には共感、時には議論をしながら頭を使って食事をするのが好きなのだ。

購入したお弁当のひとつ、雞腿便當。おかずは雞腿(チキンレッグ)と甜不辣(さつま揚げみたいなもの)、滷蛋(煮卵)。ごはんの上には、青菜の炒めたのや茹でキャベツがしきつめられている。

日本の駅弁と比べると地味な見た目ではあるが、びっくりするほどおいしい!おばあちゃんが手作りしてくれたお弁当という感じ。ほっとするけれど、ビールもすすんでしまう(これも大事なのです)。

もうひとつは、宜蘭風味便當。鴨肉の燻製をメインに、塩さば、コロッケ、こんにゃく、青菜など。

宜蘭風味便當は販売場所や時間が限定されているらしく、出会えたらラッキー。鴨とさばが大好きなふたりには、これもたまらない。台湾ビールとともに、ぺろりと完食。

台湾に来るたびに、ほかのお弁当も試していつか全制覇しようと心に決めている。しかしながら、知り合いの台湾人たちいわく、臺鐵便當は日常的すぎて、特に食べたいと思うものではないようだ。

私も日本の駅弁は特別好きなわけじゃないから、ないものねだりなのかもしれない。休日の昼間に電車にゴトゴト揺られながら、駅弁を味わうという行為が好きなのだろう。

台中駅に到着してから、ローカル線の新烏日駅へ移動。ややこしいけれど、新烏日駅までは歩いてすぐなので迷わないと思う。

春のようにあたたかい日。のんびりしたムードに、なんだか眠気が…

ホームにいる人はまばら。しばらくして来た電車に乗り、台中市の中心部に到着する。

台中車站(台中駅)は、このとき改修工事の真っ最中。

旧駅舎はそのまま残して改装、これから博物館として使われるようになるらしい。歴史を感じるすてきなデザインなので、嬉しい。再訪する楽しみがまたひとつ増えたな。

タクシーでホテルに向かうか迷ったものの、街中も見てみたいので歩くことに。台中の街はコンパクトで道もわかりやすく、歩きまわるのにちょうど良いサイズ感だと思う。ただ段差は多く歩道がせまいので、スーツケースだと少し苦労するかもしれない。

宿泊予定のホテルが見えてきた!

今回選んだホテルは、1969 Blue Sky Hotel(1969藍天飯店)。旧市街にある、古い建物をリノベーションしていてちょっと変わったデザインホテルだ。

ホテルのロビーには大きなシャンデリアと、積み上げられたトランクケースの山が。エレベーターの造りまで可愛くて、デザイン好き、レトロ好きの人は心おどる空間だと思う。

外観はこんな感じ(夜に撮影したもの)。

アンティークとモダンが入り混じる、不思議な建物。古い映画に登場しそうな、独特のたたずまいにひかれてしまう。

チェックインの時間にはまだ早いよう。スーツケースだけ預けて、散歩がてらお茶を飲みに行くことにした。

Mizua

旅行雑誌の編集者兼ライター、週末バー店主を経て、現在は大好きな台湾での生活を楽しんでいます。本サイト「旅のあと ふたりのレシピ」運営のほか、台湾情報ブログも...

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