おうちでささっと台湾料理
小巻米粉 イカのビーフンスープ
「ミニュイの台湾シリーズ」について
ライターおよび料理家である筆者が、台湾の食や文化を現地で学ぶ「ミニュイの台湾シリーズ」。日本にいる頃にはじめた旅ごはんとお酒にまつわるソロプロジェクト「Minuit(ミニュイ)」の活動として、主に本サイトにて発信を続けています。
自身の目で見て体験する現地での生活、食文化、お出かけ先や旅行先でのあれこれを、写真とともにご紹介していきます。詳しくは第一回記事(台湾の食と文化を伝える、ミニュイの台湾シリーズ)をご一読ください。
台湾のローカルグルメ、小巻米粉
台湾の人々が普段食べているローカルグルメに、「小巻米粉」という料理があります。「小巻」とは小型のイカのこと、「米粉」はビーフンをふくむいわゆるライスヌードルのことで、ここでは「イカのビーフンスープ」としてご紹介していきます。
台南に旅行に行ったことのある方なら、上の写真のようなタイプの小巻米粉をご存知かもしれませんね。私たち夫婦も、先日台南を訪れた際に有名店へ行って食べてきました。ぷるぷるの米粉にだしの効いたスープ、もっちりと柔らかいイカ…思い出すだけでまた食べたくなります!
ある週末の夜。四知堂TUAのオーナー・チャオさんとそのお友だちを自宅に招き、一緒に食事をしたときのこと。季節の野菜や海鮮をたっぷり使った小巻米粉の作り方を教えてもらいました。
おうちでつくる小巻米粉のかんたん手順
材料は、新鮮な小巻(さっとボイルしたもの)、あさり、キャベツ、かぼちゃ、にんじん、豚肉(チャーシューなどでもOK)、干し海老、水で戻したビーフン、あとは香味野菜。すべてチャオさんが持ってきてくれました。
キャベツは細切り、かぼちゃとにんじんは適当な厚さにカットして、豚肉とともに鍋でさっと炒めます。このとき、焦げつき防止に少しだけ油を加えて。
だしスープ(鶏ベースでもかつお昆布のだしでもどちらでもOK)を注ぎ、ねぎ、セロリ、乾燥しょうが、鷹の爪を加えてしばらくグツグツ煮込みます。その後、ビーフンを加えて混ぜ、さらにあさりを投入して火が通るまでさらに煮ます。
できあがった小巻米粉をいただきます
あさりの口が開いたら、最後にイカを加えてスープで温めつつ、味をみて調整します。あさりや干し海老からもしっかりとだしが出るので、塩が必要なら少しだけ加える、くらいのごく薄味で仕上げるのがおすすめ。お好みでコショウをふりかけてもOKです。
あっという間に完成!みんなで、できあがった小巻米粉をいただきます。
イカとあさりの火の通り具合が絶妙で、無言で食べ進めてしまうほどのおいしさ。ビーフンにもスープの旨みがしっかりとしみこんでいて、たまりません。香味野菜はもちろん、かぼちゃやにんじんの根菜から出る自然な甘さも感じられます。
台湾では小巻米粉を、お酒を飲んだ後にスープとして食べることも多いのだとか。特に今回教えてもらったバージョンは、油をほとんど使わず、野菜多めのあっさり仕上げ。じんわりと胃にしみわたる滋味深いスープは、二日酔い防止にもなりそうです。
この日、準備していたお料理とチャオさんの差し入れでゆっくり食事を楽しんでいた私たち。すでに飲んでいたイタリア・バラデン醸造所の白ビールや、同じくイタリア・レ コステのオレンジワインなど、洗練されていながら個性も感じるようなお酒にぴったりでした。
番外編 おつまみ和食でおもてなし
小巻米粉を教わったこの日、台湾人のお客さまふたりに和食を味わってもらおう!と、簡単なおつまみをいくつか用意しておきました。
蓮根の塩きんぴら、野菜の揚げ浸し(ヤングコーン、ズッキーニ、オクラの三種)は、事前に作り置きができるうえ、箸休めにも最適です。
新潟出身の私たち夫婦。郷土料理もひとつはね…と思い、鮭の焼き漬けをつくりました。鮭を焼いて昆布ベースの醤油ダレに漬け込むだけなのですが、いろいろなお酒に合う万能メニューなのです。
そのほか、台湾では生でも売っている金針菜を使ってお浸しも。だし醤油と梅肉でさっぱり仕上げた金針菜は、ヘルシーかつお酒のすすむ一品です。
チャオさんが差し入れで持ってきてくれたのは、鶏手羽のスモーク! 特に示し合わせていたわけではないけれど、用意していたおつまみとのバランスもばっちりで、一緒においしくいただきました。
ビールはもちろんワインも何本か空いて…数時間にわたるディナー(兼お料理レッスン)は、深夜に終了しました。和食おつまみも、喜んでもらえたようで嬉しかったです。
さいごに
自宅で台湾グルメを教わりながら一緒に作って食べるのは、とても楽しい経験でした。食材も比較的そろえやすいものばかりなので、近いうちにまた作ってみようかな。日本では小巻(小型のイカ)が手に入りにくいかもしれませんが、普通のイカでももちろんおいしくできます。ぜひ一度、試してみてくださいね。