【台湾でたのしむ二十四節気】
大暑におすすめの過ごし方と食養生【台北・中山市場】

二十四節気 大暑におすすめのフルーツ グァバ
台湾あれこれ

「台湾でたのしむ二十四節気」について

「台湾でたのしむ二十四節気」は、台湾・台北で暮らす筆者が季節の暮らしや料理について記録していく記事2本立てのシリーズです。

毎回、ひとつめの記事では、その時期におすすめの過ごし方や食べるとよい食材などを、東洋医学および薬膳の考え方にそって記しています。またあわせて、実際に食材を購入した台湾の伝統市場やスーパーマーケット、ファーマーズマーケットなどもご紹介。

そしてふたつめの記事では、台湾でみつけた旬の食材を使ったお料理や、季節の食卓の楽しみ方をご紹介していきます。

先回、小暑の記事はこちら。

二十四節気 大暑のイメージ

【台湾でたのしむ二十四節気12】大暑(新暦 7月23日頃)

旧暦において一年の季節を24に分けたものが二十四節気、それをさらに細かく分けたものが七十二候です。

大暑は、一年のなかで最も暑さが厳しくなる時期です。昼間は強い陽射しとともに気温が上昇し、夜も蒸し暑くて寝苦しい日々となります。夏の土用は次の節気である立秋の前まで続くことから、この時期には、厳しい暑さを乗り越えるため滋養強壮に効くものを食べるのが理にかなっています。

大暑の期間の七十二候は、以下のとおりです。

初候 桐始結花 きりはじめてはなをむすぶ
次候 土潤溽暑 つちうるおうてむしあつし
末候 大雨時行 たいうときどきにふる

桐の花が実を結び、土が湿り気を帯びて蒸し暑くなっていく頃です。また、湿った空気が暖められて上昇することで入道雲が発生し、大雨が降ることが多くなります。

台湾では日本以上に、いわゆる夕立や突然の雷雨に見舞われることがとても多いです。筆者も最初のうちは困っていましたが、今ではすっかり慣れて、当たり前に傘を持ち歩いたり、濡れてもよい服装をしたり、いつ雨が降っても大丈夫な準備をするようになりました。

二十四節気 大暑のイメージ写真

日本では学生さんたちが夏休みに入る頃でもあります。海や川、山など自然のなかで過ごす機会が増えるとともに、花火大会にお祭りにと夏ならではの楽しいイベントがたくさんあって、開放的な気分になりますね。

大暑におすすめの過ごし方

暑い時期は体力を消耗しやすいので、日中はあまり活動的になりすぎず、適度に涼しいところで静かに過ごすのが正解。冷たいものが欲しくなりますが、氷入りのドリンクやアイスなどは摂りすぎないようにするとよいです。早朝または日が落ちてから散歩や軽いスポーツをして汗を流す、温かいお風呂にゆっくり浸かってリラックスする、というのもおすすめの過ごし方です。

小暑から続く土用の時期は、日頃の疲れが出て体調を崩しやすくなります。食事の時間や頻度、食べる内容などを見直して、胃腸に負担をかけるような習慣はこの機会に改善するとよいです。また、高温多湿の状態では食中毒などのトラブルも起こりがち。衛生管理にはいつも以上に気をつけて、要冷蔵のものを常温のまま放置したりしないようにしましょう。

中医学の世界では、「冬病夏治」といって冬の間にあらわれる病を夏のうちに治すという考え方があります。冬に症状が出やすい慢性病(冷え性やリュウマチ、神経痛など)や咳、のどの痛みといった呼吸器系のトラブルは、陽気不足によって起こるといわれています。夏のうちに身体を温める食材をとって免疫を上げることで、これらの冬の不調を軽減することができるでしょう。

大暑に食べるとよいもの

小暑の記事でも述べたとおり、夏の時期を健康に過ごすには、脾や胃をいたわることが重要です。自然な甘みのある食材、消化によい食材を意識してとるようにするとともに、味が濃すぎるものや塩辛いものはほどほどにして腹八分目の食事を心がけるのがよいでしょう。

身体に熱や湿気がこもると、不眠やだるさ、食欲不振などにつながります。トマト、なす、きゅうり、冬瓜、スイカなどを積極的にとることで、余分な水分やたまった毒素を上手に排出することができます。逆に冷え性気味の方は、身体を温める香味野菜やスパイス、かぼちゃ、もち米などの温性食材をバランスよく取り入れてみて。

夏の土用には、うなぎや肉、魚、レバー、ほうれん草など、脾臓をいたわりつつ血を補う食材がおすすめです。うなぎが苦手な方は、うどん、梅干し、ウリなどほかの「う」のつくものを食べて、暑気あたりをしっかり予防しましょう。

ある日、台北市内にある中山市場でお買い物をしてきました。この日は台湾料理のための食材を購入するのが目的だったのですが…。そこで目にとまったのは、細長いなす、そして鮮やかな緑色をした台湾バジルでした。

薬膳の考え方では、なすは身体の熱を冷まして、血の巡りをよくするはたらきがあるといわれています。また脾のはたらきをサポートして胃もたれや食欲不振を改善したり、むくみをとったりしてくれるうれしい作用もあります。

二十四節気 大暑におすすめの食材 なすとバジル

今回購入したのは「麻糬茄子」という品種で、青果店の店主さんに聞いたところ台湾では夏から秋にかけて多く生産されているなすなのだとか。濃い紫色でひょろりと細長く、皮が薄く身が柔らかいため短時間で調理できるほか、煮る、焼く、蒸すなどさまざまな調理法に向いているそうです。

ちなみに日本でよく見かけるタイプのなすは、そのまま「日本種茄子」という名前で出まわっています。一部の青果店では丸なすや米(べい)なすも販売されているほか、白色や鮮やかな緑色をした洋食向けのなすなども購入することができます。

台湾バジルは「九層塔」と呼ばれていて、品種としてはスイートバジルよりもタイのホーリーバジルに近いものなのだそう。今回購入したものは比較的葉が大きいものでしたが、一般的な台湾バジルは、葉が小さくて尖っており、香りは強くてスパイシー。揚げもの、炒めもの、スープなどいろいろなシーンで活躍する、台湾においてはなくてはならないハーブのひとつです。

二十四節気 大暑におすすめの食材 バジル

バジルは、抗菌・消炎や眼病予防、アンチエイジングなど多方面によいはたらきをしてくれる食材です。またバジルの香りは、自律神経をととのえて心身をリラックスさせてくれるともいわれています。

下の記事では、なすとバジルを使った台湾料理のレシピをご紹介しています。よろしければこちらものぞいてみてくださいね。

夏に食べたいフルーツといえば、マンゴー、ライチ、パッションフルーツ、バナナなどのトロピカルフルーツがあります。それに加えて、台湾でよく食べられているのがグァバです。

スーパーフードとして人気のあるグァバは、便秘解消にデトックス、むくみ防止といった美容にうれしい効能があるだけでなく、喉をうるおして炎症をしずめたり、免疫力をアップしたりするはたらきも。

二十四節気 大暑におすすめのフルーツ グァバ

台湾では「芭樂」と呼ばれて店頭に並ぶグァバですが、いくつかの種類があり、メジャーなのは果実がピンク〜赤色をした「紅心芭樂」、写真のように果実が白い「珍珠芭樂」あたりでしょうか。最近では品種改良されたタイプも多いようです。

余談ですが、台湾の一部では「大暑の時期にパイナップルを食べると一年を幸せに過ごせる」ともいわれています。これはパイナップルの旬が夏であること、パイナップルの台湾語が「旺來(ワンライ、幸運や繁栄を意味する縁起のよい言葉)」の発音と似ていることから生まれた習わしなのだとか。

日本でもおいしいパイナップルが手に入るシーズンですので、「まだ今年はパイナップルを食べてない…!」という方もぜひ召し上がってみてくださいね。

【今回のお買い物スポット】台北・中山市場

日系デパートの三越や誠品(台湾発の大型書店)、おしゃれなカフェやレストラン、人気のセレクトショップなどが集まる繁華街・中山エリア。その中心部から少し歩いたところにある中山市場は、小規模ながら地元の人々に愛されている伝統的なローカルマーケットです。

その歴史は1917年にまでさかのぼり、「御成町市場」または「昭安市場」といった名前の変遷だけでなく、多目的ビルへの改築、2011年の火災による改修などを経て今の中山市場があります。

場内ではいくつかの小さな青果店のほか、精肉、鮮魚などの生鮮食品を扱う屋台が営業しています。市場自体は夕方まで営業しているものの、午前中で店じまいをしてしまうところが多め。にぎやかな雰囲気を楽しみたいなら、朝〜午前中早めの時間帯に訪れるのがベターです。

飲食店が並ぶ一角もあり、牛肉麵、排骨酥麵(揚げた豚スペアリブ入りの麺)をはじめとする台湾のローカルグルメをここで味わうことができます。英語や日本語はあまり通じなそうですが、常連さんたちにまじって食事を味わう体験が好きな方はきっと気に入るはず。

夏の時期におすすめの記事、こちらもどうぞ。

Mizua

旅行雑誌の編集者兼ライター、週末バー店主を経て、現在は大好きな台湾での生活を楽しんでいます。本サイト「旅のあと ふたりのレシピ」運営のほか、台湾情報ブログも...

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