【旅エッセイ】
台北で、朝ごはんはしご

旅とエッセイ

〈旅日記1〉 台湾(台北・台中)

2日目 朝

前日お酒をひかえめにして寝た甲斐あって、朝は気持ちよく起きることができた。予定よりは少し遅いものの、まあいいか…とのんびり準備をして、ホテルを出る。

お目当ての朝ごはんを食べるべく、MRT(地下鉄)に乗って中正紀念堂駅へ。到着したのは、金峰魯肉飯。以前ふたりで訪れて、あまりのおいしさに虜になったお店だ。

お昼どきには行列ができるという人気店だけれど、まだそこまで混み合ってはいない。席に座って、日本語つきの写真入りメニューをしばし眺める。

注文用紙に数を記入して店員さんに手渡すと、あっという間に食事がやってきた。

店名にもある通り、ここの名物は魯肉飯(ルーローハン)。ほかに魯蛋(煮玉子)、肉焿湯(豚肉のスープ)も頼んでみた。

魯肉飯は、白いごはんのうえにたっぷりのお肉と、ウリのような野菜の漬物がのっている。よく煮込まれたほろほろの豚肉は、濃いめの味つけ。しいたけの甘みとスパイスのような複雑な香りが合わさって、たまらない。

魯肉飯も魯蛋も、肉焿湯でさえも、本来の私たちの好みからすると甘すぎるくらいなのに。それでも口にすると「うーん、やっぱりこれが台湾の味だよね」と感激してしまうから不思議だ。

朝ごはんを食べに来ているのは、近所の常連さんらしき人々からカメラを持った観光客までさまざま。店頭のワゴンで煮込んでいるお肉や玉子、そのほか惣菜をテイクアウトする人も多いようだ。

きっとまたいつか訪れるのだろうなあ、とぼんやり思いながら、にぎやかなお店を後にする。旅先で同じ場所に行ったり、同じ食事をリピートしたりすることがあまりない私たちには珍しい。

次の目的地へ向かう途中に、気になっていた近くの小籠包専門店をのぞいてみた。お店は営業準備中のようだったが、開店時間を聞くと、「もう食べられるよ!」と手招きされる。

ふむ…店内はきれいだし、店員さんたちの感じもよく、何よりおいしそうな香りがする。当初予定していたランチは別の日にして、ここで朝ごはんはしごをすることに決めた。

思いがけず食べることになったのは、中正紀念堂駅からも徒歩圏内の小籠包専門店、黄龍荘。メニューがひと目でわかる、赤いパネルと看板が目印。十字路に佇む庶民的な食堂、という雰囲気に期待が高まる。

おすすめを聞きながらオーダーをして、小籠包を包むようすを見学させてもらう。上海で小籠包や点心のレッスンに参加したこともあったので、その難しさはよくわかっているつもりだ。

職人さんたちの丁寧かつすばやい仕事ぶりに、しばし見とれてしまう。彼らは一瞬で私たちの分を作り終えて、その後もひたすら小籠包を作り続けているのだった。

まずは、看板メニューの小籠湯包をいただく。見た目は普通の小籠包だが、生地をやぶると澄んだ肉汁があふれてきて、まるでスープを飲んでいるよう。黒酢をつけなくてもよいくらい、コクがあってしっかりとした味わい。

エビとヘチマが入った蝦仁絲瓜湯包も、さっぱりとしていて、シャキシャキの食感が楽しい一品だった。

鶏肉を骨ごと煮込んだスープ、元盅鶏湯も、薄味ながらちゃんと旨みがあっておいしい。冷蔵ケースにずらりと並んだ小菜にも目を奪われつつ、この日二度目の食事をゆっくりと楽しんだ。

「このままでは帰る前に太ってしまう…!」という危機感。台湾に遊びに来るたび思う、そして今回も。旅の間はできるかぎりたくさん歩いて、摂取したカロリーを少しでも消費しようと、改めて心に誓う。

まだ二日目なのに、この調子で大丈夫かしらん?

でも、人一倍食いしん坊な私たち、おいしいもの探しはやめられないのだから、仕方ない。

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