台湾北部の港町へ
シーフードレストランでワイン【基隆】

台湾あれこれ

「ミニュイの台湾シリーズ」について

ライター兼料理家である筆者が、台湾の食や文化を現地で学ぶ「ミニュイの台湾シリーズ」。旅ごはんとお酒にまつわるプロジェクト「Minuit(ミニュイ)」の活動として、主に本サイトにて発信を続けています。

自身の目で見て体験する現地での生活、食文化、お出かけ先や旅行先でのあれこれを、写真とともにご紹介していきます。詳しくは第一回記事(台湾の食と文化を伝える、ミニュイの台湾シリーズ)をご一読ください。

台北から車で30分の港町・基隆へ

ある日の午前中、チャオさんのお誘いを受けて、はじめて基隆(ジーロン)という町へ出かけることに。

開放的な景色に自然豊かな公園、おいしい海鮮に廟口夜市…。台湾の北部に位置する港町・基隆は、台北から日帰りできるお出かけスポットとしても有名な場所です。

基隆には高雄に次いで二番目に大きい基隆港があり、台湾における物流・貿易の重要拠点でもあります。

カラフルな建物が目をひく正濱漁港

台北から北へ車を走らせること約30分。基隆の中心部に到着しました。

たくさんの船に積み上げられたコンテナ、すぐそこの海から漂ってくる潮の香り…。いかにも港町らしい雰囲気に、水辺が好きな私はワクワクしてしまいます。

観光客に人気の観光スポットのひとつ、正濱漁港。対岸にはたくさんの人が写真撮影に訪れており、私たちも立ち寄りました。

政府の再開発によって、正濱漁港の一角にある古い建物の壁がカラフルに塗り変えられたのだそう。 色とりどりの建物が並ぶ様子は、さながらヨーロッパです。

基隆港の先にある小さな島、和平島

再び車を走らせて橋を渡り、基隆港の東側にある小さな島、和平島へとやってきました。島内には和平島公園があり、ビーチやプールでの水遊びができるのはもちろん、特殊な海岸地形を見てまわって楽しむこともできます。

廃墟マニアにはたまらない巨大な造船所跡、阿根納造船廠も要チェック。敷地内は原則立ち入り禁止となっているようですが、外から眺めるだけでも迫力満点です。

とれたて海鮮を味わえるローカルレストラン

和平島のグルメストリート、和平島観光魚市へ。ここでは、現地の漁師さんたちが朝に引き揚げてくるとれたての海鮮を、その場で味わうことができます。

ランチはチャオさん行きつけのレストラン、阿本活海鮮にて。お店の入り口にはいけすとショーケースがあり、実物を見てどんな調理法でいただくか店員さんに相談しながら、オーダーしていきます。

基本はチャオさんと店員さんにおまかせ!の私たち夫婦。ショーケースに並んだ海鮮を眺めながら、「これはなんだろう」「これ食べてみたいね」とおしゃべり。

店員さんがすすめてくれたカサゴのようなお魚は、地面でピチピチと元気に跳ねています。残酷なようですが、やっぱりおいしそう…。どんなお料理になって出てくるのかしら?

台湾産シーフード×ワインでランチ時間

たくさんのお客さんでがやがやと賑わう店内の、空いた席へ案内されました。持ちこませてもらったワインとワイングラスのほかに、台湾ビールも少しだけ。乾杯して喉を潤しているうちに、どんどんお料理が運ばれてきます。

台湾でとれた海老をシンプルに茹でたもの。甘みがあって身がふわふわしていて、味噌の部分まで感動するほどにおいしい!

いけすから出したばかりのカサゴみたいな赤い魚は、石虎魚と呼ばれているそう。これを蒸したものにたっぷりの薬味を合わせていただきました。

皮の部分のつるんとした食感もたまらない、絶品メニュー。白い身は淡白なようで、しっかりとした旨味が感じられます。

平べったいあさりは、ニンニクや唐辛子、九層塔(台湾バジル)などと一緒に炒めた醤油味。合わせて出てきた桜海老のチャーハンもあっさり薄味ながら香ばしくて、お箸が止まりません。

海鮮に合わせて白ワインを持ってきたはずが赤ワインだったといううっかりハプニングがありつつも、お酒好きなメンバーたちはおかまいなし。

チャオさんが持ってきたシチリア産オリーブオイルをお料理にかけて、味の変化を楽しみながら、「これには赤も合うね」などと感想を述べ合うのでした。

それにしても、2009年のシャトー・スミス・オー・ラ フィットをこんなシチュエーションで飲むことになるなんて、人生は不思議…。

イカスミの和え麺には極上のソーテルヌ

どのお料理も唸るほどおいしかったのですが、別格だと思ったのはイカスミの和え麺。

新鮮なイカの墨をたっぷり使い、ほんの少しの塩とネギだけで仕上げたシンプルメニュー、ひと口食べて感激してしまいました。

今までイカスミのパスタやリゾットを食べたことはあるけれど、イカスミがこんなにも豊かな風味を持つのだと知ったのははじめて。

イカスミの和え麺に合わせたのはPetit Guiraud SAUTERNES 2010。南国フルーツやはちみつ、お花のような豊潤な香りにきれいな酸、ミネラル感がすてきな貴腐ワインです。

ソーテルヌにシーフードを組み合わせたのも今までにない経験でしたが、不思議なくらいよく合うのは、穏やかな酸とミネラルのおかげかな。

さいごに

お腹いっぱい食べた後。「夜もうちのお店で、一緒に食事しよう」と提案してくれたチャオさんとともに、通り沿いの鮮魚店で夜ごはんの食材を調達。

次回記事で、詳しくご紹介していきます。よろしければお付き合いくださいませ。

Mizua

旅行雑誌の編集者兼ライター、週末バー店主を経て、現在は大好きな台湾での生活を楽しんでいます。本サイト「旅のあと ふたりのレシピ」運営のほか、台湾情報ブログも...

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