ワインとともに味わう
辛くておいしい台湾式の麻辣火鍋

きのこがたっぷり入った台湾の麻辣火鍋
台湾あれこれ

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台湾の麻辣火鍋をしゃぶしゃぶスタイルで

日本では冬に食べることの多い鍋料理ですが、台湾では「火鍋」と呼ばれ、一年を通じて親しまれています。火鍋とは、スープで食材を煮ていただくしゃぶしゃぶのようなスタイル全般のことを指します。ベースとなるスープはもちろん、用いられる食材もさまざまです。

具材が入った台湾の麻辣火鍋

先日、チャオさんに「台湾式の麻辣(マーラー)火鍋を食べない?」とお誘いいただきました。漢方食材たっぷりのスパイシーで辛い「麻辣火鍋」は、上海に住んでいた頃から大好き。 嬉しくて「食べたい!」とすぐに返事をしたのでした。

今は日本にいてもさまざまな火鍋セットが販売されていて、お取り寄せもできるのがうれしいところ。

火鍋の前に、前菜と台湾産ビールを

そうしてある週末の夜、いつものようにチャオさんのお店を訪ねました。火鍋の前に、まずは台湾のおいしいビール(過去記事にも登場しています→漁港でみつけたおいしい海鮮 台湾流の味わい方【基隆】)で乾杯。

ビール片手に、レバーのコンフィをつまみながらおしゃべり。香り豊かでワインみたいなビールは、しっとりとなめらかなレバーのおいしさをさらに引き立ててくれます。

その後、ワインを2本ほど開けて試飲していると…登場したのは、まさかの蟹の混ぜ麺。甲殻類好きとしては垂涎もののメニューだけれど、この後の火鍋、食べれるのかしらという一抹の不安も。といいつつ遠慮なくいただきます!

蟹の肉と味噌、内子が入ったまぜ麺

つるんとした細麺に、蟹の身と内子がたっぷり。ねぎとすりごまのほかに唐辛子と山椒もトッピングされていて、絶妙なピリ辛ぐあいです。三人で、小ぶりのお椀をそれぞれあっという間に完食してしまいました。

食材の持つ味わいを生かした麻辣火鍋

さて、いよいよ火鍋スタート! テーブルの上に、食材が運ばれてきます。木箱にうつくしく並べられたお肉のほか、日本とは異なる顔ぶれの食材たちも。

台湾の麻辣火鍋のお肉と具材

麻辣火鍋のベースとなるのは、漢方スパイス入りの真っ赤なスープ。唐辛子とねぎ、あとは麻辣火鍋に欠かせない鴨血(鴨の血をかためたもの)と凍り豆腐も入っていて、これだけでもおいしそうです。

具材が入った台湾の麻辣火鍋

食材を加える前に、まずはスープの味見。四川風火鍋のイメージで激辛を想像していたら、とてもやさしい味わいでびっくり。辛みはそれほど強くなく、甘草や八角の独特な香り、甘みが際立ったような印象です。

チャオさんに聞くと、「四川風火鍋は辛くてスープを飲めないでしょう?これならスープもおいしく飲める。食材そのもののおいしさも味わえるし、ワインにも合うし」とのこと。

確かにお店で食べる麻辣火鍋は、どうしても辛さが勝ってしまうからスープ自体をおいしいと思って飲むことは少ないもの。チャオさんが作ってくれたこのスープなら、刺激が強すぎず、身体にも負担をかけずに味わうことができそうです。

麻辣火鍋に合わせた食材いろいろ

今回用意してもらったのは、茼莴と呼ばれる台湾の春菊、きのこ類、いか団子、そして蛋餃です。蛋餃とは、薄焼き卵で餃子の餡を包んだ料理。台湾では鍋料理の定番食材として人気で、私たち夫婦も大好き!

台湾の麻辣火鍋の具材

メインのお肉は、宮崎和牛。ほかにオーストラリア牛やスペインのイベリコ豚などもあわせて、食べ比べてみることに。

木の箱に盛りつけられた薄切りの牛肉

まずは宮崎和牛をさっとしゃぶしゃぶして、ほんのりピンク色になったくらいでいただきます。口の中に入れるととろけるように柔らかく、お肉の甘みがダイレクトに伝わってきて…感動! 火鍋スープのスパイスをまとった牛肉は、日本のしゃぶしゃぶとはひと味違ったおいしさです。

レアに仕上げられたしゃぶしゃぶ用の牛肉

オーストラリア牛は、みっしりとした食感と脂のバランスで食べ飽きません。また、じっくりと火を通したイベリコ豚のさっぱりとした後味も魅力的。

きのこがたっぷり入った台湾の麻辣火鍋

お肉をひととおり堪能した後は、ほかの食材をさっと煮ていただきました。すでに腹八分目を通り越しているものの、おいしくて箸が止まりません。

それぞれの肉の旨みが溶け込んだスープは、煮込むほどにますます深みを増していきます。今まで味わったことのないタイプの麻辣火鍋に出合い、台湾料理の奥深さを改めて感じた夜でした。

仕切りのついた専用の鍋がなくても、家庭にある好きな鍋を使って火鍋を楽しむことができます。ストウブやル・クルーゼなど厚みのある琺瑯鍋も、保温性が高いのでおすすめですよ。

麻辣火鍋に合わせたワインはこちら

蟹の混ぜ麺の流れから火鍋に合わせたのは、イタリアのラツィオでワイン造りをする生産者、Le CosteのBianco del Paino。白ワインというよりもほぼオレンジワインで、黄色い果実に薬草のような苦み、ほどよい酸味。

Domaine Jean Grivot のCoteaux Bourguignons は、ガメイらしいベリー感と軽めのタンニンが心地よい一本。土っぽさやスパイシーさもあるので火鍋に合わせるのも悪くないけれど、個人的にはオレンジワインの方がしっくり来るかなあ、と思いました。

食後酒に合わせて贅沢デザートを

食後はデザートとともに、ウイスキーやグラッパをちびちび。柿のなかにマスカルポーネチーズを詰めたもの、フレッシュなイチゴのタルト。オレンジピールのチョコレートがけも、甘すぎずお酒にぴったりでした。

カラフルでおしゃれなデザートプレート

「ミニュイの台湾シリーズ」について

ライターおよび料理家である筆者が、台湾の食や文化を現地で学ぶ「ミニュイの台湾シリーズ」。日本にいる頃にはじめた旅ごはんとお酒にまつわるソロプロジェクト「Minuit(ミニュイ)」の活動として、主に本サイトにて発信を続けています。

自身の目で見て体験する現地での生活、食文化、お出かけ先や旅行先でのあれこれを、写真とともにご紹介していきます。詳しくは第一回記事(台湾の食と文化を伝える、ミニュイの台湾シリーズ)をご一読ください。

Mizua

旅行雑誌の編集者兼ライター、週末バー店主を経て、現在は大好きな台湾での生活を楽しんでいます。本サイト「旅のあと ふたりのレシピ」運営のほか、台湾情報ブログも...

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