【台湾でたのしむ二十四節気】
穀雨におすすめの過ごし方と食養生【台北・新富市場】

お皿にのせられた新鮮なアスパラ
台湾あれこれ

「台湾でたのしむ二十四節気」について

「台湾でたのしむ二十四節気」は、台湾・台北で暮らす筆者が季節の暮らしや料理について記録していく記事2本立てのシリーズです。

毎回、ひとつめの記事では、その時期におすすめの過ごし方や食べるとよい食材などを、東洋医学および薬膳の考え方にそって記しています。またあわせて、実際に食材を購入した台湾の伝統市場やスーパーマーケット、ファーマーズマーケットなどもご紹介。

そしてふたつめの記事では、台湾でみつけた旬の食材を使ったお料理や、季節の食卓の楽しみ方をご紹介していきます。

先回、清明の記事はこちら。

二十四節気 穀雨のイメージ

【台湾でたのしむ二十四節気06】穀雨(新暦 4月20日頃)

旧暦において一年の季節を24に分けたものが二十四節気、それをさらに細かく分けたものが七十二候です。

「穀雨」とは、お米や麦、アワ、キビなどの穀物(=百穀)をうるおす雨のこと。二十四節気の穀雨の時期には、春の雨によって植物がすくすくと生長し、緑が一段と濃く深くなっていきます。

穀雨の期間の七十二候は、以下のとおりです。

初候 葭始生 あしはじめてしょうず
次候 霜止出苗 しもやんでなえいづる
末候 牡丹華 ぼたんはなさく

水辺では葦がとがった新芽を出し始め、霜が降りなくなることで稲の苗もどんどん伸びていきます。そして牡丹の花が華麗に咲く頃、季節は春から夏へと移り変わっていくのです。

二十四節気 穀雨のイメージ画像(光を浴びる稲穂)

「夏も近づく八十八夜」と歌われるように、立春から八十八日目の夜に一番茶を摘む風習があります。これは新暦でいう5月2日頃にあたり、この時期に摘んだお茶は「春摘み茶」として親しまれています。

また、台湾では毎年この時期に、航海の神様である「媽祖」の生誕を祝う行事が開催されるのだそう。台湾各地の媽祖を祀る廟では神輿巡業が行われ、健康と平和を願う人々で賑わいます。

穀雨におすすめの過ごし方

春の季節のなかでは最後の節気となる穀雨。気温の上昇とともに、雨が降る日も多くなっていきます。むくみやだるさが出やすいときなので、冷たい飲みものをひかえるのはもちろん、水分をあまり摂りすぎないように心がけるとよいでしょう。

清明から続く春の土用でもあるため、いわゆる五月病のような症状に悩まされる方もいるかもしれません。疲れているときは無理をせず、睡眠時間を多めにとったり、気分転換やリラックスのための時間を意識的に取り入れたりしたいものです。

春は、一年のうちでもっとも陽気がさかんである季節といわれています。また一日のなかでもっとも陽気がさかんであるとされる朝の時間帯をうまく活用することが大切。早朝から身体を動かす、朝食をしっかりとるなどして、新陳代謝を上げていきましょう。

穀雨に食べるとよいもの

穀雨の時期には、熱や湿度による体調不良、肌のトラブル、食欲不振などが起こりやすくなります。これらの症状を防ぐには、「肝」と「脾」をケアすることが重要です。まずは、冷たい食べものや飲みものを避けて、甘いものや油っこいもの、酸っぱいものをとりすぎないようにしましょう。

この時期にとるべき野菜は、キャベツ、ほうれん草、山芋、かぼちゃ、冬瓜、トマトなど。そのほか、黒ごま、黒豆、黒米といった、脾や腎の働きをおぎなう黒い食べものを取り入れるのもおすすめです。

先日、台北の萬華エリアにある新富市場(東三水街市場)にて夜ごはんの食材を調達しました。店先には季節の野菜やフルーツがたくさん並んでいて、目移りするほど! ある八百屋さんで新鮮なアスパラガスを見つけて、おいしそうだったので思わず購入。

お皿にのせられた新鮮なアスパラ

今の時期が旬のアスパラガスは、実はユリ科の植物で、にんにくや玉ねぎの仲間なのだとか。脾の働きを高めて食欲を増進させてくれる作用があるので、積極的にとりたい食材です。また同時に、身体の熱を冷まして喉の乾きをうるおしてくれる効果もあります。

今回、ふたつ目の記事ではこのアスパラガスを使ったお料理の簡単レシピをご紹介しています。よろしければこちらものぞいてみてくださいね。

この時期に食べたい果物なら、パイナップル、オレンジをはじめとする柑橘類、いちご、バナナなどがあげられます。もし手に入るようなら乾燥ナツメ、クコの実などもおすすめ。

台湾ではパイナップルを通年食べることができますが、今の季節、市場に出まわるものの多くは金鑚パイナップルと呼ばれる品種です。芯まで丸ごと食べられるので、少し冷やしてから皮を切り取ってそのままカットすればOK。

新富市場にある青果店の店主さんに「今日食べたいのですが、どれがおいしいですか?」と聞いて、おすすめのものを選んでもらいました。完熟したパイナップルは香りがとてもよくて、甘さも十分。さすがに大きいので半分は冷蔵、半分は冷凍にして少しずついただくことに。

日本に住んでいたときはパイナップルを味わう機会は少なかったけれど、台湾では気軽に買って試すことができるのでうれしい!

ちなみに薬膳の考え方では、パイナップルは消化を促して夏バテや疲労を回復してくれるほか、水分を排出してむくみを解消してくれる作用があるといわれています。梅雨が近づくこれからの季節にもぴったりですね。

【今回のお買い物スポット】台北・新富市場(東三水街市場)

台北有数のパワースポット・龍山寺からも徒歩圏のところにある新富市場(東三水街市場)は、地元の人たちからも愛される伝統市場です。2017年の大規模な改装を経て、観光客も気軽に訪れることができるマーケットに生まれ変わりました。

通路の両脇には小さなお店が並んでいて、野菜、果物、お肉に海鮮、そのほかたくさんのお惣菜、ローカルグルメがずらり! もともとの市場であった建築はリノベーション後、「新富町文化市場」という複合施設として再オープン。中庭に出て馬蹄形の建物を見学することもできるほか、カフェやイベント参加などを楽しむこともできます。

私たち夫婦は龍山寺や近くの飲食店に立ち寄った後、ここの市場でお買いものをすることがあります。ほかの市場に比べて規模が小さめな分、野菜はここ、お魚はここ…と迷わず食材選びができるのがよいところ。場内にはのんびりとした雰囲気が漂っていて、台湾の人々の日常にとけこんだような気分になれます。

Mizua

旅行雑誌の編集者兼ライター、週末バー店主を経て、現在は大好きな台湾での生活を楽しんでいます。本サイト「旅のあと ふたりのレシピ」運営のほか、台湾情報ブログも...

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