【旅エッセイ】はじめてのパリ旅 マルシェ バスティーユとワインごはん

パリのビストロの鴨コンフィ
旅とエッセイ

2021.02 追記 この旅エッセイシリーズは、上海に住んでいた頃に書いていたブログ記事をリライトしたものです。もとの文章にアレンジを加えて掲載しておりますので、ご了承ください。

私たちがまだ上海に住んでいたときのこと。春節をはじめとする長期連休には、海外に旅をするのが恒例となっていました。

もともとフランスの文化が大好きで、大学時代にフランス語を学んでいた私(現在、フランス語レッスンを再開しました)。フランスワインが好きな夫も賛同してくれて、長年の憧れだったパリ旅が実現したのでした。

滞在期間は一週間ほどと短いものでしたが、事前に下調べをしっかりしたおかげで、充実した日々を過ごすことができました。

旅エッセイ 1 台湾編はこちらからご覧ください。

〈旅エッセイ〉2 フランス(パリ)

1日目

飛行機のチケットやホテルを手配してから、楽しみにしていたフランスへの旅行。

ちょうど訪れる予定であった2月は、フランスも冬の真っ只中。少しでもあたたかそうな南仏にしようか?など夫とふたりで話し合ったものの…フライト時間や乗り継ぎのことを考えるといちばんスムーズだよねということで、行き先はパリに落ち着いたのだった。

連休初日の深夜に上海の空港を出発してから、半日かけてオランダ・スキポール空港へ。KLMオランダ航空の運航によるフライトはとても快適で、寝て起きたらあっという間に空港に着いていた。別の飛行機に乗り継ぎ、翌10時(現地時間)にようやくパリ=シャルル・ド・ゴール空港に到着。

RERと呼ばれる高速鉄道でパリ市内へ行き、ホテル最寄りの駅まで来てひと安心。そのままホテルへ向かい、荷物を預けてから街へ繰り出すことに。まずは近くのマルシェを目指す。

寒い冬のパリの街並み

つい昨日までは上海の自宅にいたのに、今はふたりでパリの小さな通りを歩いている。周囲から聞こえてくるのは中国語ではなくて、フランス語。これは夢かも、と目をこすりたくなるような不思議な感覚。旅先ではいつもそんな感覚をおぼえるのだけれど、ヨーロッパとなるとなおさら。

旅行のときに必ず訪れるのは、現地の人たちが通うローカル市場。フランスにはたくさんのマルシェがあって、営業している曜日や時間もさまざまだ。

最初に訪れたマルシェ バスティーユは、メトロのバスティーユ駅からリシャール・ルノワール通りに伸びる規模の大きい青空マルシェ。週2回、朝から午後14時頃まで開いているのだそう。

生鮮食品はもちろん、おみやげに持ち帰ることのできるお菓子やジャム類、塩、ハーブ&スパイス、キッチン用品、雑貨…ありとあらゆるお店が並んでいる。

ひとつ一つのお店の眺めながら歩いていると、「Bonjour(こんにちは) !」「Vous désirez(何にしますか) ?」と威勢のよい声が飛び交う。

店員さんはみなフレンドリーで、カメラを向ける前にポーズをとってくれるチャーミングなお兄さんも。

色とりどりの野菜にめずらしいきのこ類、どれもおいしそう。特に、普段の生活範囲ではなかなか目にすることができない、新鮮な魚介に見とれてしまう。

パリのマルシェに並ぶ新鮮な魚介

かごにたくさん積まれた卵は、それだけで素敵に見える。また、特徴的なフランス語で書かれた値札を読みときながら、そぞろ歩きするのも楽しい。

お肉屋さんには、ハムやサラミなどの加工品のほかにラパン(うさぎ)やうずらも並んでいて、フランスらしいなと思う。店頭に吊るされたソーセージが迫力満点!

その場でフードを食べさせてくれる屋台が多いのも、マルシェ バスティーユの特徴みたいだ。まず目にとびこんできたのは、生牡蠣。

パリのマルシェに並ぶ生ガキ

レモンをキュッとしぼってすすり、白ワインで流し込む…。ああ、今食べたら最高だろうな。でも、これから食事をひかえているのでここはがまん。

ガレット(フランス式クレープ)の屋台やチーズの専門店、ハーブやスパイスを使った中東系フードに魚介入りのパエリア。

ここに並んだフードを順番にテイクアウトするだけでも、かなりのごちそうになるはず。次に来るときはやっぱりキッチン付きのアパートメントに泊まろう、と心に決めたのだった。

マルシェをめぐってお腹がすいたので、そのまま歩いて次なる目的地へ。

ある二月のパリの街並み

お目当ては、 Cafe de l’Industrie (カフェ・ドゥ・ランドゥストリー)というお店。向かいにも雰囲気の異なる姉妹店があるのだけれど、真っ赤な外観が素敵なこちらをチョイスしてみた。

パリの街角にあるカフェレストランの外観

パリに来て最初にしたかったこと。それは、こういう気取らないカフェやビストロで、フランスらしい食事を楽しみながらワインを味わうことだった。

入り口にはフランス語のメニューしかないけれど、食材はなんとか理解できるかなと思い、ひとまず入店。

店内はお客さんであふれかえっていて、にぎやかな雰囲気。古い写真や絵画がところどころに飾られていて、まさに思い描いていたパリの街角カフェだ! 少し古めかしいテーブルやソファにも、心がときめく。

まずはメニューを眺めて、食べたいものを探す。ランチセットもなかなかよさそうだし、でも周囲のお客さんの料理を見る限り、相当ボリュームがありそう…。結局、アカラルトでお願いすることにした。

ワインはバリエーション豊富で、どれもグラスでオーダーできるのが嬉しい。

カフェの壁にかけられたワインリスト

注文したのは、野菜のポタージュ、長ねぎのポワレ ヴィネグレットソース、鴨のコンフィ。山盛りのパンも添えられていて、これ以上頼まなくて正解だったなと胸を撫で下ろす。

パリのビストロの鴨コンフィ

大好きな鴨のコンフィ。皮はパリパリなのに、お肉はホロリと柔らかい。塩気もきいていて絶品。つけあわせのポテトは多すぎる気もするけれど、全体的にワインがすすむ味わいだった。

ワインはお約束のシャンパーニュからはじめて、ロゼや赤のいろいろな種類をいただいた。価格が手頃で、水みたいにごくごく飲んでしまうふたり。

2時間くらいゆっくり食べたり飲んだりして、帰る頃にはもう夕方に。料理もワインもおいしくて、幸せなひととき。

お店を出てから、バスティーユ広場で記念撮影をしたり、スーパーマーケットに立ち寄ってみたり。しばし周辺の散策を楽しんで、ホテルに戻る。

寒い冬のパリのある通り

ホテル周辺のバスティーユ界隈は、地図を見ないでぐるぐると歩くのが楽しい場所だった。たくさんのカフェに本屋さん、フラワーショップ。あとは多国籍料理レストランも多く見かけた。

宿泊したのはこちら、CASTEX HOTEL(キャステックスホテル)。多くの観光スポットに徒歩で行ける好立地と、派手すぎないこぢんまりとした規模感が魅力のプチホテルだ。

パリにある小さなホテル、CASTEX HOTELの外観

旅先のホテルを決めるときは、毎回いくつかの希望をあげて、それらに合致するところを探すのが私たちのスタイル。

今回のホテル選びの基準は、
・近くに飲食店やスーパー、パン屋さんがたくさんある
・歩いて行けるところにいくつかマルシェがある
・観光向けというよりも、普通に暮らしている人が多いエリア
・最寄りの地下鉄駅から徒歩5分以内にある
・パリ暮らしの感覚を楽しめそうな小さいホテル

というもので、そのすべてに当てはまったのがこの宿だ。またフロントの方もいろいろ親切にしてくださり、ワインボトルのプレゼントやカトラリー貸し出しなどもありがたかった。

パリにある小さなホテルの客室

ダブルルームは決して広くはないものの、ノスタルジックな内装が素敵だった。バスルームは清潔で、軽い食事ができるテーブルもある。窓を開けると、パリの街並みを見下ろすことができるのもよかったな。

海外旅行といえば、時差ボケがつきもの。私はとても時差に弱くて、いつも現地時間に身体をならす前に旅が終わってしまう…。このときもそう。中国とフランスの時差は7時間あるため、夕方になると眠くなってしまうのだ。

行きのフライトでたっぷり寝たはずなのに、荷ほどきをしている間についうとうと。起きたらまさかの夜22時だった! けれど、起こしても起きない私をあきらめた夫がワインやお惣菜を買ってきてくれたおかげで、深夜のささやかな食事にありつけた。

白いお皿にのせられた生ハムとカトラリー

少し甘めのスパークリングワインで乾杯して、借りたお皿とカトラリーを使い
ベッドの上で生ハムやサラダをいただく。飲んでいるうちに元気になってきて、もらった赤ワインのハーフボトルも飲み干した。

レストランでの豪華な食事もうれしいし、学生時代のようなこういう楽しみ方ができるのも素直にうれしい。いちばん大切なのは、このよろこびを好きな人と共有できていることだなと改めて思った夜。

翌日は外で朝ごはんのスケジュールだったので、おとなしく就寝。

Mizua

旅行雑誌の編集者兼ライター、週末バー店主を経て、現在は大好きな台湾での生活を楽しんでいます。本サイト「旅のあと ふたりのレシピ」運営のほか、台湾情報ブログも...

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