【冬至】台湾の高粱酒(ガオリャン酒)と味わうヤギ肉の鍋、羊肉爐(ヤンロウルー)【二十四節気の料理レシピ】
「台湾でたのしむ二十四節気」について
「台湾でたのしむ二十四節気」は、台湾・台北で暮らす筆者が季節の暮らしや料理について記録していく2本立て記事のシリーズです。
毎回、ひとつめの記事では、その時期におすすめの過ごし方や食べるとよい食材などを、東洋医学および薬膳の考え方にそって記しています。またあわせて、実際に食材を購入した台湾の伝統市場やスーパーマーケット、ファーマーズマーケットなどもご紹介。
冬至編ひとつめの記事は、下記のリンクからご覧くださいませ。
【二十四節気の料理22】冬至の時期に、「羊肉爐(ヤンロウルー)」
台湾の冬の定番メニュー「羊肉爐(ヤンロウルー)」のレシピをご紹介します。
冬至編ひとつめの記事でもご紹介したとおり、「羊肉」といってもここで使われるのはヤギのお肉。ぶつ切りにした皮つきのヤギ肉を野菜やさまざまな具材とともに漢方スープで煮込んだ「羊肉爐(ヤンロウルー)」は、ヤギ肉で有名な台湾南部(岡山、溪湖など)が発祥といわれています。
下ゆでしてから漢方スープでコトコト煮込んだヤギ肉は、お箸で切れるほどに柔らかくとろとろの食感! 食べるとすぐに身体がぽかぽかしてきます。お肉の旨みを吸った大根や凍り豆腐、タロイモも絶品で、「あつい!」「おいしい!」と手が止まりません。
羊肉爐に用いられる漢方スパイスはお店や家庭によって異なりますが、トウキ、ナツメ、クコの実、八角、ほかにもたくさんの種類があります。台湾では市場やスーパーマーケットでもいろいろなスパイスセットが販売されていて、つくりたい料理に合わせてそれを選ぶだけでよいのがありがたいです。
日本だと、すべての漢方を自分でそろえることは難しいかなと思うのですが…漢方専門のウェブストアや台湾食材専門店などで手に入れられるはず。ヤギ肉も意外と流通しているようなので、興味のある方はぜひ取り寄せてみてください。
台湾ローカルグルメのレシピはこちらもどうぞ。
「羊肉爐(ヤンロウルー)」のかんたんレシピ
【材料(つくりやすい分量)】
骨つきヤギ肉600g、ネギの青い部分適量、紹興酒適量、ショウガ1かけ、羊肉爐スパイスセット1袋、水かお酒で戻したクコの実、好みの野菜や食材を適量(ここでは大根、白菜、サラダ菜、しいたけ、えのき、エリンギ、キクラゲ、凍り豆腐、揚げたタロイモ、ラム薄切り肉)、塩少々、醤油適量、ごま油適量
【作り方】
1. ヤギ肉の下ごしらえをする。流水でよく洗ったヤギ肉を鍋に入れて、お水をひたひたに加える。ネギの青い部分をのせて紹興酒をふり入れ、沸騰するまで中火で煮る。沸騰してアクが出てきたところでネギを取り除き、もう一度ヤギ肉を洗う。ざるにあげて水気を切っておく。
2. 野菜と好みの食材を準備する。大根は適当な大きさにカットして下ゆでする。白菜、サラダ菜、きのこ類、キクラゲは食べやすくカットする。ラム薄切り肉は食べやすくカットしておく。
3. スライスしたショウガを鍋に入れて、少量の油で揚げ焼きにする。香りが出てきたらヤギ肉を加えてさっと焼く。
4. 大根を加えて水をひたひたに加えたら、スパイスをのせる。フタをして弱火で1〜2時間ほど煮込む。
5. スパイスの袋や不要な漢方食材を取り出し、紹興酒、ごま油、クコの実を加えて軽く煮立てたらできあがり。塩や醤油は好みで途中から追加する。白菜、サラダ菜、きのこ類、キクラゲ、凍り豆腐、揚げたタロイモ、ラム薄切り肉は適宜鍋に入れて、火が通ったところでいただく。
※つくるときのポイント
ヤギと大根はそれぞれ先に下ゆでしておくことで、臭みが気にならなくなります。葉野菜はすぐに火が通るので、最後にさっと加えていただきましょう。レシピでご紹介している以外にも、好きな野菜や食材を加えてOKです。台湾では豆腐、ゆばなどの豆製品やすりみだんご、冬瓜、ヤマイモなども人気です。
羊肉爐のたれを自分でつくると、より本格的に楽しめます。現地で一般的なのは、腐乳または豆板醤、それらを混ぜたものなど。あれば生のショウガを千切りして、お肉を食べるときに一緒につまむのもさっぱりしていておいしいです。
「羊肉爐(ヤンロウルー)」に合わせたお酒
羊肉爐には台湾ビールももちろんぴったり。ですが、やはり欠かせないのは高粱酒(ガオリャン酒)です。高粱という穀物を原料にしてつくる蒸留酒で、独特の香りと味、アルコール度数の高さから「ハードル高い…!」とか「飲んだことあるけどおいしくなかった…!」という方もいらっしゃるかもしれません。
かくいう私もガオリャンはあまり得意ではないものの、最近おいしいものをみつけたのでここでご紹介したいと思います。台湾の「御香窖(Yu Hsiang Chiao)」というブランドの「陳年紅高粱酒」です! ちなみにこれらのシリーズは、台北市内のスーパーマーケットや一部の酒屋さんで購入することができます。
一般的なガオリャンのイメージとは一線を画す、おしゃれでシンプルなデザイン。ラベルの裏側が赤になっていて、ボトルがほんのりピンク色に見えるのも可愛いです。
アルコール度数は52度とやはり高めなのですが、香りがとても柔らかく、お花やフルーツのようなほんのり甘いニュアンス。添加物不使用のおかげか、飲んでみるとすっきりしていてマイルドな余韻だけが残ります。ガブガブ飲んで酔うためのお酒、と思っていたガオリャンがこんなにおいしいなんて…びっくりしました。
しっかり冷やして、羊肉爐を味わいながら少しずつ飲むのがおすすめです。ロックやソーダ割りももちろんおいしいですし、お茶で割ってカクテルのようにしてもよいですね。飲みすぎには気をつけながら楽しみましょう。
さいごに
ヤギ肉を柔らかく煮込む分、ふつうの鍋料理と比べて少し時間はかかりますが…。おうちでつくる羊肉爐は、お店で食べるのとは別物のおいしさ! 冬にぴったりのごちそうメニュー、ヤギ肉やスパイスが手に入ったらぜひチャレンジしてみてくださいね。
冬に食べたい料理レシピ、こちらもよろしければどうぞ。
本サイトでは、台湾生活のなかでみつけたおいしいものやおもしろいスポット、現地の人々に教えてもらった素敵な文化などを記録する「ミニュイの台湾シリーズ」も連載中。