旬の野菜と海鮮を楽しむ
秋の台湾料理とワインごはんの会
「ミニュイの台湾シリーズ」について
ライターおよび料理家である筆者が、台湾の食や文化を現地で学ぶ「ミニュイの台湾シリーズ」。日本にいる頃にはじめた旅ごはんとお酒にまつわるソロプロジェクト「Minuit(ミニュイ)」の活動として、主に本サイトにて発信を続けています。
自身の目で見て体験する現地での生活、食文化、お出かけ先や旅行先でのあれこれを、写真とともにご紹介していきます。詳しくは第一回記事(台湾の食と文化を伝える、ミニュイの台湾シリーズ)をご一読ください。
季節の台湾料理とワインを楽しむ会
夏が終わっても、まだまだ半袖や七分袖で過ごせるような気候が続く台湾。それでもやはり、市場やスーパーマーケットを巡っていると、秋らしい食材が増えてきているのを実感します。
ある夜、台湾料理レストラン四知堂TUAにお出かけ。お店の常連さんたちとともに、今の時期ならではの食材を使った台湾流の家庭料理を楽しんできました。
身体がよろこぶ旬の野菜料理
この日オーナーのチャオさんが用意してくれたのは、たくさんの野菜を使った料理! 一品目は剣筍(タケノコ)と剣蝦(エビ)の炒めものです。主役となるのは剣筍と呼ばれる細長いタケノコで、日本でいう姫竹のようなもの。バターと白ワインが加えてあり、コクのある味わいでした。
二皿目は、菱角と豚細切り肉の塩炒め。菱角(リンジャオ)はほくほくした木の実の一種で、栗または百合根のような不思議な食感がクセになる逸品です。
二つのツノを持つユニークな形をしていますが、滋養強壮などの効能があるといわれており、昔から薬膳の食材としても重宝されているのだとか。台湾では、ピーナツと同様に蒸して味わうのが一般的。写真のように夜市や道端で売られていることも多く、人々に愛されています。
三皿目は、定番の大根もちにタロイモを加えてアレンジしたもの。もっちりとした欠片を口に入れると、やさしい旨みが広がります。甘い醤油ダレとにんにくチップも良いアクセントになっていて、食べ飽きません。
高山で採れたフレッシュなほうれん草を使ったソテーは、シンプルながらいくらでも食べられそうなおいしさ。
パプリカと牛肉の炒めものは、いわゆる中華料理の青椒肉絲とは異なり、豆板醤は使わずにあっさりと仕上げているのがチャオさん流。洗練された味わいは、どれもワインにぴったりです。
白ワインとともに贅沢に味わう海鮮料理
野菜料理の合間に出てくるシーフードメニューも、旬のものばかり。まず最初に登場したのは、マナガツオ! 台湾では鯧魚と呼ばれていて、お正月に伝統料理として食卓にのぼることもある、縁起のよい魚なのだそう。
台湾のマナガツオには黒鯧、白鯧などいくつかの種類があり、今回は最高級の白鯧を使っているとのこと。蒸し煮にして白ワインとだし、ナンプラー(東南アジアのフィッシュソース)で味つけした後、細切りのネギに熱々のオイルをかけてできあがりです。
日本ではあまり馴染みのないマナガツオですが、身がとろりと柔らかくて、淡白なのにソースに負けない旨みもあって…その場にいた全員で「おいしいね」とあっという間に完食。
その後も、台湾のいかとセロリでつくるソテー、フランスから届いたばかりという生ムール貝を使った白ワイン蒸しなど、ごちそうが次々とサーブされます。
最後の一皿は、内子をたっぷりとのせた蟹のほぐし身。蟹肉の甘さと内子の濃厚さに感動…。蟹を食べるときに無言になってしまうのは、台湾の人々も同じのようです。蟹のシーズンはちょうどこれから始まるとのこと、ますます楽しみになりました。
デザートにはほろ苦い亀ゼリーを
食後のデザートに、タピオカ入りの亀苓膏(亀ゼリー)もいただきました。亀苓膏は、亀の甲羅のエキスと仙草などの生薬を煎じてつくられる薬膳スイーツで、台湾や香港などではポピュラーなもののひとつ。
ほろ苦いゼリーはシロップと合わせていただくとおいしい! たくさん食べた後でもさっぱりと食べられるうえ、美肌や健康を保つのに効果があるのは嬉しいですよね。
台湾料理に合わせたワインはこちら
常連さんたちとたくさんのワインを開けながら楽しんだので、すべての写真は撮っていないのですが…この日は野菜と海鮮に合わせて、フランス ブルゴーニュの白ワインをメインに楽しみました。
香りがほどよく華やかで、ミネラル感がありつつも、ふくよかさもある辛口の白。そんなワインが多く、この日のお料理との相性もぴったり。
特筆すべきは、マコネ地区の名門ワイナリー、Chateau de Fuisseが手がけるPouilly Fuisse Chateau Fuisse Le Clos。そして、同じくマコネ地区のメゾン、Bret BrothersのPouilly-VinzellesおよびSaitn-Veran。
どちらもテロワールとブドウの特徴を生かしたすばらしい造り手です。畑や製法の違いによって生まれるそれぞれのワインのおいしさをしっかりと感じることができました。
さいごに
テーブルに並ぶごちそうをみんなで味わいながら、あれこれ感想を述べ合うのはとても幸せなひととき。この場から新しくつながる縁もあったりして、毎回の出会いを大切にしていきたいな、と改めて思える夜でした。