【大暑】赤ワインと一緒に味わう
三杯茄子(台湾風なすの甘辛煮込み)【二十四節気の料理レシピ】
「台湾でたのしむ二十四節気」について
「台湾でたのしむ二十四節気」は、台湾・台北で暮らす筆者が季節の暮らしや料理について記録していく2本立て記事のシリーズです。
毎回、ひとつめの記事では、その時期におすすめの過ごし方や食べるとよい食材などを、東洋医学および薬膳の考え方にそって記しています。またあわせて、実際に食材を購入した台湾の伝統市場やスーパーマーケット、ファーマーズマーケットなどもご紹介。
大暑編ひとつめの記事は、下記のリンクからご覧くださいませ。
【二十四節気の料理12】大暑の時期に、三杯茄子(台湾風なすの甘辛煮込み)
今回は、三杯茄子(サンベイチエズ/台湾風なすの甘辛煮込み)のレシピをご紹介します。甘辛いたれで煮込んだなすにバジルや唐辛子などを加えた、夏にぴったりの台湾料理です。
身体の余分な熱をしずめて水分を排出してくれるなすをメインに、台湾バジルや唐辛子、にんにく、ショウガなど気や血の巡りをよくしてくれる香辛料もたっぷり! アツアツを食卓に運ぶとふんわりよい香りがして、食欲をそそります。
なすに片栗粉をまぶして揚げ焼きしておくと、しっかりとたれがからんでよりおいしく仕上がります。なすの油の吸収をおさえるのに片栗粉を使用していますが、カロリーが気になる場合はさらに、軽く塩をまぶして水分を出した後に調理するのもおすすめです。
本サイトでは、季節の食材を使った薬膳おつまみレシピ、四季ごはんシリーズなども公開中。
なすを使った料理はこちらもどうぞ。
三杯茄子(台湾風なすの甘辛煮込み)のかんたんレシピ
【材料(つくりやすい分量)】
なす2本、生唐辛子1〜2本、にんにく1かけ、しょうが1かけ、台湾バジル(なければタイバジル)適量、◎とろみ醤油とふつうの醤油を半量ずつ合わせたもの大さじ2、◎ごま油大さじ1、◎米酒(なければ料理酒)大さじ2、◎砂糖少々、塩少々、片栗粉適量、米油(なければサラダ油)適量
【作り方】
1. なすを適当な長さに切って、さらに4等分にする(ふつうのなすの場合も、写真のように適当な大きさになるようカットする)。唐辛子はななめ薄切り、にんにくはみじん切り、しょうがは皮つきのままスライスしておく。
2. なすに片栗粉をまぶし、米油を熱したフライパンで揚げ焼きする。ここで軽く塩をまぶす。ある程度なすに油がまわったら、いったんボウルに取り出す。
3. フライパンに米油をひいて、中強火でしょうがスライスを炒める。こんがりして香りが出てきたら火を少し弱めて、ごま油とにんにくを入れてさっと炒める。
4. 揚げ焼きしたなすをフライパンに戻してさっと炒めたら、◎の材料をすべて加えて混ぜ、中強火にしてフタをする。そのまま3分蒸し焼きにする。
5. フタを開けて唐辛子を加えてから、水分をとばすように炒める。味をみて、必要であれば醤油や砂糖、塩などを追加する。
6. 火を止めてバジルを加え、軽く混ぜ合わせたら器に盛りつけて完成。
※つくるときのポイント
三杯茄子の「三杯」とは、醤油、ごま油、お酒を一杯ずつ、全部で三杯入れるという意味。この割合の調味料でつくる台湾料理でもっともポピュラーなのは「三杯鶏(サンベイジー)」で、ほかに「三杯小巻(イカ)」や「三杯杏鮑菇(エリンギ)」などもよく見かけます。
ただ日本人の好みからすると、ごま油が多すぎてこってり感が強いかもしれません。なので今回のレシピでは、ごま油は少なめにアレンジしてみました。
醤油は、さらさらの台湾醤油とこっくりとしたテクスチャーのとろみ醤油を半分ずつ加えています。ふつうの醤油でももちろんOKですが、その場合は少しだけオイスターソースを足すと本場らしい甘みやコクが出るはず。ごま油は黒ごま、白ごま、好みのものを使ってください。
お酒は「米酒(ミージョウ)」という蒸留酒を使うのが台湾では一般的。日本でも扱っているウェブショップはあるようですが、手に入らなければ料理酒で代用できます。
現地でもお店によってさまざまな味つけや調理法が存在する三杯ソースの料理。いろいろ食べ比べてお気に入りのひと皿を探すのが、ひそかな楽しみだったりします。
三杯茄子(台湾風なすの甘辛煮込み)に合わせたお酒
唐辛子やにんにく、バジルが効いたスパイシーなお料理には、いつもならビールやハイボールを合わせるところ。でも今回は、台湾で食べる本場の三杯料理よりも調味料や油をひかえめにしたので、あえて赤ワインとの相性を試してみることにしました。
私たちがチョイスしたのは、フランス・ブルゴーニュ地方、ボージョレ地区の村名AOCのひとつ、モルゴンのワイン。Jean-Paul Thévenet という生産者が手がけるナチュラルワインです(Morgon Vieilles Vignes 2017)。
ガメイというブドウ品種でつくられていて、ガメイの特徴のひとつであるベリー系の香りはやはり印象的。とはいえヴィエイユ・ヴィーニュ(古樹)らしい落ち着きもあり、温度が上がるとお花や香水などを思わせる甘く華やかなアロマも感じられるようになってきます。
飲んでみるときれいなタンニンにほどよい酸、後から土やキノコ、リコリスなどのスパイス感、ほんのりハーブ感も。ワインから連想される要素の一つひとつが、三杯茄子のそれぞれの材料や調味料とうまく呼応しているようで、思った以上にしっくりくる組み合わせでした。
さいごに
今回はワインに合わせておつまみとして味わいましたが、本来はパンチの効いた料理なので、少し濃い目の味に仕上げてごはんや混ぜ麺にのせたりしてもおいしい! ボリュームを出したいときは鶏肉や豚肉、きのこ類を加えるのもおすすめです。最初に合わせ調味料をつくっておけば意外と短時間でつくることができるので、ぜひ試してみてくださいね。
夏に食べたいレシピ、こちらもよろしければどうぞ。
本サイトでは、台湾生活のなかでみつけたおいしいものやおもしろいスポット、現地の人々に教えてもらった素敵な文化などを記録する「ミニュイの台湾シリーズ」も連載中。
ブログでは、夫婦ふたり暮らしの台湾でのささやかな日常を綴っています。まずはこちらの記事からどうぞ。