【旅エッセイ】台北・一年のさいごに
客家料理ディナー

旅とエッセイ

〈旅日記1〉 台湾(台北・台中)

3日目 夕方

四四南村での散策と買い物を終えて、ホテルに戻った私たち。ワンピース&ジャケットに着替えて、ちょっと早めの夜ごはんに繰り出す。

MRTの古亭駅から少し歩いた場所にある、晋江茶堂へ。

ここは、伝統茶「擂茶」のほか、客家料理を味わえるレストランだ。

日本統治時代の日本式家屋を改装した建物は、ノスタルジックな佇まい。年季の入った看板や古い電灯すら、なんだか素敵に思えてくる。南国らしい鉢植えの数々もあいまって、沖縄の民家に来たような錯覚にもおちいる。

店内はいくつかの部屋に分かれているけれど、そんなに広くはない。入り口近くのテーブルに案内されて、とりあえず腰を落ち着けた。

客家料理とは、客家人と呼ばれる人々がつくる郷土料理のこと。中国の広東省や福建省、香港、マレーシア、そして台湾などさまざまな地域に住む客家人が、その土地で独自の文化を育んできたのだそう。

客家料理は、野菜やタケノコ、豆腐、塩漬けの肉、乾物を使った素朴な料理が多い。味つけも調理法も日本のそれと似ているので、はじめてでも食べやすいと思う。

また台湾では土地柄、新鮮な魚介やバジル、パイナップルなどもよく使われるそうだ。

メニューには日本語訳もばっちりのっているので、イメージがしやすい。店員さんにおすすめを聞きながら、いくつかオーダーしてみた。

オーダーした料理の前に運ばれてきたのは、大根のスープ。ほんのり塩味で甘みがあり、ほっとするおいしさ。

客家小炒は、伝統的な客家料理のひとつ。豚肉、イカ、豆腐を甘辛く炒めてある。

にんにくやねぎの香ばしさが、ますます食欲をそそる。おいしい!台湾ビールにもぴったりで、何本あっても足りない状態に…。

炒檳榔花は、ビンロウという植物の花を炒めたもので、しゃきしゃきとした食感が心地よい。

日本で見かけない食材は特に、夫と食べながらあれこれ感想を言いあって、味や香り、食感を覚えるようにしている。

九層塔茄子は、なすのバジル炒め。台湾はバジルを使った料理のバリエーションが豊富でうれしい。

オイスターソースや豆豉のようなまったりとしたコクがあり、これも美味。

シメには、緑茶麺線。少なめのスープとともに、混ぜそば感覚で食べる。薄味なので、おかずにもよく合う。

あたたかい茶そばのような味わいだった。うーん、お腹いっぱい…。

デザートには、仙草というハーブを使ったゼリーが登場。シロップ入りだけれど甘くなく、清涼感があって好きな味だった。

ごちそうさまでした!

あたたかくて落ち着ける、素敵なお店。客家料理もおいしくて印象に残ったので、これから少しずつ開拓していきたいな。

いつもにしては、驚くほどの早さで食事を終えたふたり。ほんとうなら違うお店をはしごしたいところ…でも、仕方ない。

翌日は、台北を一旦離れることになっていた。そしてこの夜は、ニューイヤーイベントで打ち上げられる花火を見に行く予定にしていたのだ。

台北101の花火会場に向けて、MRTに乗りこんだ。車内はまだまだ空いていて、ほっとひと安心。人混みを避けて象山駅に到着し、目的地へと急ぐ。

Mizua

旅行雑誌の編集者兼ライター、週末バー店主を経て、現在は大好きな台湾での生活を楽しんでいます。本サイト「旅のあと ふたりのレシピ」運営のほか、台湾情報ブログも...

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