【台湾でたのしむ二十四節気】
立夏におすすめの過ごし方と食養生【台北・松江市場】

ざるにのせられた旬のもも
台湾あれこれ

「台湾でたのしむ二十四節気」について

「台湾でたのしむ二十四節気」は、台湾・台北で暮らす筆者が季節の暮らしや料理について記録していく記事2本立てのシリーズです。

毎回、ひとつめの記事では、その時期におすすめの過ごし方や食べるとよい食材などを、東洋医学および薬膳の考え方にそって記しています。またあわせて、実際に食材を購入した台湾の伝統市場やスーパーマーケット、ファーマーズマーケットなどもご紹介。

そしてふたつめの記事では、台湾でみつけた旬の食材を使ったお料理や、季節の食卓の楽しみ方をご紹介していきます。

先回、穀雨の記事はこちら。

二十四節気 立夏のイメージ

【台湾でたのしむ二十四節気07】立夏(新暦 5月5日頃)

旧暦において一年の季節を24に分けたものが二十四節気、それをさらに細かく分けたものが七十二候です。

二十四節気の考え方では、立夏がいわゆる夏のはじまりとされています。台湾および日本の一部では梅雨時期と重なり降水量が多くなる一方で、晴れた日にはまさに初夏らしい爽やかな気候を楽しめる時期でもありますね。

二十四節気 立夏のイメージ画像

立夏の期間の七十二候は、以下のとおりです。

初候 蛙始鳴 かわずはじめてなく
次候 蚯蚓出 みみずいずる
末候 竹笋生 たけのこしょうず

田んぼや水辺に棲むカエルが鳴き始め、土の中にいて豊かな土壌をつくってくれていたミミズが地上へと這い出す。また、春に旬を迎えるイメージのあるタケノコですが、俳句などの世界では夏の季語として使われているのだそう。

日本では端午の節句は5月5日。鯉のぼりを飾ったり、菖蒲湯につかったりするほか、柏餅を食べるというのも一般的ですね。それに対して台湾では、旧暦でいう5月5日(新暦6月)に「端午節」という祝日が設けられていて、ちまきを食べる、ドラゴンボートを漕ぐなどの異なる風習があります。

立夏におすすめの過ごし方

東洋医学においては「夏に心(心臓)の養生を行っておけば、病気知らずの軽やかな身体になる」という言葉があります。また、体内の血液を循環させる心臓は、感情や思考をつかさどる臓器と考えられています。

この「心」の機能低下が、不眠、イライラ、動悸、口内炎といったトラブルを引き起こす原因に。できるだけストレスをためないよう心がけるとともに、短時間でもストレッチや軽い運動を取り入れるなど気分転換をするようにしましょう。

もともと湿気の多い季節なのに加えて、暑さのために冷たい飲みものや果物などさっぱりしたものを多くとることで、身体のなかに湿気をためやすいときでもあります。

体質にもよるので一概には言えませんが、身体が冷えやすい人は水分自体を摂りすぎないようにしたいところ。反対に暑がりで汗をかきやすい人は、夏バテ防止のためにも適度に水分補給をしつつ、身体を冷やすことが大切です。

立夏に食べるとよいもの

立夏から始まる夏の時期には、身体をうるおして適度に冷やしてくれる旬のものや、「心」を健やかに保ってくれる苦みのある食材、胃腸にやさしい消化吸収のよいものをとるようにしましょう。

身体の熱を冷やして水分代謝を上げてくれるのは、トマト、なす、きゅうり、冬瓜など。スイカ、メロン、キウイ、パイナップルといった夏の果物、雑穀・豆類でははとむぎ、あわ、緑豆、小豆などもおすすめです。苦みのある食材にはゴーヤ、セロリ、しそ、パクチー(緑色の香味野菜全般)のほか、お茶やココア(カカオ)、コーヒーも含まれます。

また、赤い食べものも「心」の機能を補ってくれるといわれています。上に挙げたトマト、スイカももちろんですし、サケ、パプリカ、唐辛子などスーパーマーケットでも手に入りやすいものから、ナツメ、紅花、サンザシなど少し珍しい漢方食材までいろいろ。

少し前のこと。夫と一緒に台北市内の松江市場へお買いものに出かけ、料理用の食材のほかランチのためのお惣菜もたくさん買ってきました。はじめて立ち寄った鮮魚店で、この時期に旬を迎える台湾産エビをみつけたので購入。これを使って台湾料理をつくることにしたのでした。

薬膳の世界ではエビ類は身体を温めるものに分類されていますが、夏に旬を迎える種類もたくさん。身体が冷えやすい人にとっては欠かせない食材でもあり、夏バテ防止にもなる強壮効果、ホルモンバランスがととのう効果なども期待できます。

バットに入れられた新鮮な台湾産エビ

今回買ったのは、台湾東部・宜蘭の港町、南方澳という場所でとれる野生のエビ。台湾では「胭脂蝦」と呼ばれているそうで、身が鮮やかな赤い色をしていてふわふわと柔らかいのが特徴です。

下の記事ではこのエビを使ったお料理の簡単レシピをご紹介しています。よろしければこちらものぞいてみてくださいね。

エビと同じくこの時期に旬を迎えるのが桃! 市場でなんともいえないよい香りに引き寄せられ、こちらも買ってみることにしたのでした。

桃はほかの夏の果物と違って身体を温める作用があるのですが、血の巡りをよくして身体をうるおしてくれるはたらきも。冷え性の人はもちろん、汗をかきやすい人や夏バテ・疲労しやすい人にもぴったりの果物です。

ざるにのせられた旬のもも

日本で流通しているもののほとんどが甘くて柔らかい桃なのに対して、台湾ではサクサクとした食感の甘酸っぱいものがたくさん出まわっています。私たちが買ったのもそちらのタイプ。このタイプの桃(プラム等もふくむ)は、そのまま食べるのではなく、砂糖や梅パウダーをまぶして漬けたりするのが一般的です。

台湾人の友だちに教えてもらった桃漬けのレシピ(過去記事)もありますので、興味のある方はぜひこちらもご覧ください。

【今回のお買い物スポット】台北・松江市場

台北市内の中山エリアにある松江市場。たくさんの観光客が訪れる寺院「行天宮」から近いにもかかわらず、ローカル感あふれる雰囲気が今も色濃く残っています。

場内の地下部分では主にお肉や魚を買うことができて、一部は飲食店エリアとして使われています。1階部分は八百屋さんのほか、台湾の伝統食材、いろいろな地方の中華のお惣菜、豆花などのスイーツ、さらには雑貨、服、靴までなんでもあり!

日本でいう商店街がぎゅっとコンパクトになったようなイメージ。おおらかでエネルギッシュな台湾の魅力を余すことなく楽しめる、素敵なスポットです。

市場のまわりにも青果店や精肉店、さまざまなジャンルの飲食店がずらりと並んでいます。市場としての営業時間は朝からお昼すぎなのですが、夜になると市場の一角にたくさんの屋台が並び、ちょっとした夜市のようになります。

昼間・夜ともにふだんはあまり足を運ぶことがない市場ではあるものの、行くたびにそのにぎやかさにつられて、ついついたくさんの食材やお惣菜を買い込んでしまう…!そんな不思議なパワーを持っているところだなあと思っています。

これから夏の時期に向けておすすめの記事、こちらもどうぞ。

Mizua

旅行雑誌の編集者兼ライター、週末バー店主を経て、現在は大好きな台湾での生活を楽しんでいます。本サイト「旅のあと ふたりのレシピ」運営のほか、台湾情報ブログも...

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