【台湾の麺料理】一度で二度おいしい牛肉とスープ
台湾式牛肉麺の作り方【レシピ】
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夏に食べたい台湾の麺料理、第三弾
夏に食べたい、台湾の麺料理をご紹介するシリーズ第三弾です。第一弾、第二弾の記事をまだご覧になっていない方は、そちらもご一読いただくことで本記事をさらに楽しめるはず。
炸醤麺(ジャージャン麺)、排骨麺(パイグー麺)に続いて、最後に取り上げるのは、台湾といえばこれ!と思い浮かべる方も多いであろうローカルグルメ、牛肉麺です。
台湾旅行に来たなら外せない名物、牛肉麺
台湾には数多のおいしいローカルグルメが存在しますが、台湾好きの日本人観光客にもっとも愛されている麺料理のひとつといえば、やはり牛肉麺ではないでしょうか。
お肉の旨みが溶けこんだスープ、つるつるシコシコとした麺、柔らかくほどけるほど煮込まれた牛肉やぷるんとした食感の牛すじ…。付け合わせの酸菜、そしてラー油、黒酢などの調味料をトッピングすることで、味の変化を楽しめるのも魅力です。
上の写真は、台北で人気の牛肉麺店、史記正宗牛肉麵で食事をしたときのもの。牛肉や牛すじがおいしいのはもちろん、すっきりとしていながら奥深いコクのあるスープが絶品でした。
台湾では現地の人にももちろん愛されている牛肉麺。屋台や食堂、高級レストラン、はたまたインスタントヌードルまで、ありとあらゆるタイプの牛肉麺を味わうことができます。
牛骨と野菜をコトコト煮込んだ「清燉(チンドゥン)」スープ、または辛みや醤油を加えたスパイシーな「紅焼(ホンシャオ)」スープのどちらかを選べるお店が多いです。
台湾式の清燉牛肉麺づくりに密着
台湾料理レストラン四知堂オーナーのチャオさんと食事をするときにも、しばしば自家製の牛肉麺を味わう機会があります(とってもおいしい!)。今回は、清燉スープの牛肉麺をつくる、その一部始終に密着させてもらいました。
まずはじめに、スープづくりに欠かせない漢方食材について教えてもらいます。チャオさんが用意したのは、粒の白こしょう、粒の花山椒、陳皮(みかんの皮)、コリアンダーシード、シナモン、フェンネルシード、ローリエです。
漢方食材にはそれぞれ異なるはたらきがあり、また加える量によっても香りや味わいが変わります。これらを、チャオさんは迪化街(台北の有名な問屋街)のお気に入り店でいつも購入しているのだそう。
漢方や薬膳についての記事は、こちらもどうぞ。
チャオさんのつくる牛肉麺は、台湾らしくスパイスが効いて本格的なのに、いろいろな国のエッセンスも同時に感じられるような不思議なおいしさです。
煮込むときに玉ねぎやパプリカなどの焼き野菜を加えたり、スープを飲むときにはバジルとレモンをふりかけたり…。独特のアレンジが生きるのも、ベースとなる食材が上質で、またお料理自体も手間をかけて仕上げているからこそ。
次の章から、食材や作り方についてご紹介していきます。
台湾式の清燉牛肉麺の作り方
【材料】
牛肉(牛すじ、すね、テール、ほかモツ類を中心に用意する)、大根(おでんみたいに厚めの輪切り)、ねぎ、セロリ、生しょうが、にんじん、パプリカ、玉ねぎ、スパイス(粒の白こしょう、粒の花山椒、陳皮、コリアンダーの種、シナモン、フェンネルシード、ローリエ)、塩こしょう、麺(乾麺でも生麺でも)、好みの付け合わせや調味料
【作り方】
1.牛肉(内臓もすべて)は下ゆでをしておく。大根は皮をむいて厚めの輪切りにする。生しょうがはスライスする。
2.野菜(にんじん、パプリカ、玉ねぎ)を180度のオーブンで10分焼く。
3.大きい鍋に、大根、ねぎ、セロリ、生しょうがを加えて煮る。
4.牛肉、2の焼き野菜、袋に入れたスパイスを加えて1時間くらい煮込む。
5.鍋ごとオーブンにうつして、70度のオーブンでさらに2時間くらいゆっくり火を通す(オーブンに入らない場合は、鍋のまま弱火で煮込み続けてもOK)。
6.牛肉や野菜を取り出して、適度な大きさにカットする。スープは濾してから塩こしょうで味をつけ、ゆでた麺とともに器に盛りつける。好きな量の牛肉と野菜、酸菜などをトッピングして完成。
【補足】
スパイスは、布の袋またはだしパックなどにまとめて入れて煮出すと、取り出すのが簡単です。
牛肉類を煮込むときには調味料を一切入れない、シンプルなレシピです。その分保存があまりきかないので、冷蔵庫に入れておいて早めに食べきるのがおすすめ。
数日保存したいという場合は、塩こしょうや醤油、お酒などの調味料を加えてアレンジしてください。
できあがった清燉牛肉麺をいただきます
まずはスタンダードな清燉牛肉麺を試食。ほろほろの牛肉と酸菜、麺を一緒にほおばると最高! 複雑なスパイスの香りが鼻から抜けていきます。
長時間煮込んだスープはやや白濁しています。お肉と野菜の甘みがぎゅっと詰まっているのにクリアな味わいで、塩こしょうや醤油をまったく入れなくても十二分においしいです。
野菜と一緒に大きな鍋で煮込んだ牛肉は、そのままおつまみに。お肉の部分は薄切りにして、モツ類は細かく刻んで、少しだけ醤油や塩を加えて味わうのがおすすめ。
おつまみに冷たいスープに、アレンジを加えて
生しょうがの細切りや台湾バジルをトッピングするのもよく合います。
玉ねぎやパプリカ、にんじんなど丸ごと煮込んだ野菜をカットしてスープに浮かべれば、麺がなくてもボリュームたっぷりの一品に。ほんの少し塩とオリーブオイルを加えることで、食材のおいしさが引き立ちます。
そのほか、スープだけを濾してよく冷やした後、レモンをしぼって台湾バジルをふりかけて味わうのも素敵なアイデア。ほどよい酸味とハーブの風味が感じられて、ベトナムのフォーのようなイメージで楽しむことができます。
清燉牛肉麺に合わせたお酒はこちら
清燉牛肉麺に合わせたのは、イタリアの造り手 Le Costeが手がける自然派赤ワインRosso。甘酸っぱいベリーの香りにほのかな甘み、スパイシーさとタンニンの強弱がバランスのよい一本です。
飲んでいるうちに少しずつ旨みが出てきて、だしっぽい味わいもするのが好み。野菜主体のあっさりとしたスープには、濃いめの赤ワインよりもこれくらい軽快でフレッシュなものの方が合います。
牛肉やモツ類のおつまみに合わせるなら、フルボディでもやや丸みのあるメルロー種主体の赤ワイン、濃厚でスパイシーなシラー種主体の赤ワインなどがよさそう。
レモンの酸味をきかせた冷たいスープには、スパークリングワインやハーブ感のあるソーヴィニヨンブラン種主体の白ワインなども合わせてみたいものです。
さいごに
これまで台湾の麺料理を三つの記事に分けてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。麺好きの私たち夫婦、台湾での新たなグルメ探しの道のりはまだまだ続いていきます。
「ミニュイの台湾シリーズ」について
ライターおよび料理家である筆者が、台湾の食や文化を現地で学ぶ「ミニュイの台湾シリーズ」。日本にいる頃にはじめた旅ごはんとお酒にまつわるソロプロジェクト「Minuit(ミニュイ)」の活動として、主に本サイトにて発信を続けています。
自身の目で見て体験する現地での生活、食文化、お出かけ先や旅行先でのあれこれを、写真とともにご紹介していきます。詳しくは第一回記事(台湾の食と文化を伝える、ミニュイの台湾シリーズ)をご一読ください。