【台湾でたのしむ二十四節気】
立春におすすめの過ごし方と食養生【台北・東門市場】

白いボウルに入れられた新鮮ないちご
台湾あれこれ

季節のめぐりを感じながら日々を暮らす

たくさんの情報に囲まれ、時間に追われる生き方が当たり前になった現代において、季節のうつり変わりに心をよせたり、伝統的な年中行事を大切にしたりすることはなかなか難しくなってきているようです。

日本には豊かな四季があり、季節にそったさまざまな楽しみ方があります。春には満開に咲く桜を愛で、夏には浴衣を着てお祭りに出かけ、秋には月を鑑賞して虫の音を聞き、冬には雪を眺めながら温泉につかる。そんな豊かな文化を享受できる国に生まれてよかったなあと思います。

一方、私が今住んでいる台湾でも、しっかりと四季の変化を感じることができます。また台湾では、旧暦(太陰太陽暦)に基づいた季節の過ごし方が根づいていて、それぞれの時期に応じた行事や旬の食べものなどが、日々の生活に彩りを与えてくれます。

そんな台湾での季節の暮らしを、自分なりにまとめて記録していきたいなあという思いから、本サイトにて連載を始めることにしました。日本と台湾の違いはもちろん、台湾の文化や伝統行事、旬の食材、大切にされている考え方など、実際に住んでみての感想もふまえてご紹介できたらいいなと思っています。

「台湾でたのしむ二十四節気」シリーズ

今回から始まる「台湾でたのしむ二十四節気」シリーズは、毎回2本立ての記事でお送りします。

ひとつめの記事では、その時期におすすめの過ごし方や食べるとよい食材などを、東洋医学および薬膳の考え方にそって記していきます。またあわせて、実際に食材を購入した台湾の伝統市場やスーパーマーケット、ファーマーズマーケットなどもご紹介するつもりです。

そしてふたつめの記事では、立春におすすめの台湾食材を使ったお料理と、季節の食卓の楽しみ方をご紹介していきます。←記事をアップしました!

下記の記事では、二十四節気および薬膳について、また私がそれらに興味を持つようになったきっかけなどを書いています。お時間があれば、ぜひこちらもご一読ください。

二十四節気 立春のイメージ

【台湾でたのしむ二十四節気01】立春(新暦 2月4日頃)

旧暦において一年の季節を24に分けたものが二十四節気、それをさらに細かく分けたものが七十二候です。立春は、旧暦では一年の始まりとされています。台湾および中華圏ではこの頃に春節(旧正月)を迎え、春節の前日に除夕と呼ばれるごちそうを食べたり、故郷で家族や友人たちと集まって盛大にお祝いをしたりします。

ちなみに立春の期間の七十二候は、以下のとおりです。まだまだ寒い時期ではありますが、少しずつ日が長くなり、春の訪れが少しずつ感じられる頃です。

初候 東風解凍 はるかぜこおりをとく
次候 黄鶯睍睆 うぐいすなく
末候 魚上氷 うおこおりをいずる

初春に咲く梅の花

立春におすすめの過ごし方

春の訪れとともに、人間の身体も少しずつ活発になっていく時期です。まずは早起きをして日光を浴び、朝を気持ちよく始めることができたら理想的。巡りのよい身体をつくるために、水分補給もいつもより意識して行いましょう。

季節の変化によるストレスや睡眠不足などがあると、目の不調が起こりやすくなります。デスクワークや読書などで目を使いすぎたと思ったら少し休める、目のまわりのマッサージをするなどを心がけるとよいです。

気分が開放的になり、外へ出たくなったり新しいことを始めたくなる時期ですが、身体が順応できないとのぼせや頭痛、イライラなどが起こりやすくなります。穏やかな気分で落ち着いて過ごすことも大切。一日のうちに、ほっとリラックスできる時間を取り入れるのもおすすめです。

立春に食べるとよいもの

東洋医学では、宇宙にあるすべてのものは「陰」と「陽」に分けられ、これは人体にもあてはまるとされています。立春の頃に食べるとよいのは、「陽」の気を高めるもの。冬の間にためた「陰」の気を発散させることが重要です。

「陽」の気を高めてくれる食材として、ニラやセロリ、長ネギ、玉ねぎ、香菜といった香りが強い野菜があげられます。

例えば、セロリには目の不調を改善したり、めまいや頭痛、イライラを解消して気の巡りをよくしたりする性質があるといわれています。余分な水分を排出して身体をすっきりさせるデトックス効果も期待できます。

ニラも気の巡りや血の巡りをよくする食材のひとつで、身体をあたためて下半身の冷えや腰痛を和らげてくれるほか、疲労回復にも有効とされています。

木のまな板にのせられた新鮮なセロリとにら

先日、台湾・台北の東門市場で、セロリ、ニラ、長ネギ、香菜などの香味野菜をたくさん買ってきました。一年を通じて手に入りやすいこれらの野菜ではありますが、この時期はやわらかくてフレッシュなものが多く出回っていてとてもうれしいです。

果物では、いちごやさくらんぼといった「甘味」をふくむものがおすすめです。いちごには、身体の熱をさまして喉をうるおしてくれるはたらきがあります。また消化を助けてお腹のはり、便秘などを解消してくれる食材ともいわれます。

同じく東門市場を訪れたときに青果店で見つけた、大粒のいちご。台湾でいちごの産地として有名なのは苗栗県の大湖という場所で、作付面積、生産量ともに国内における80%のシェアとなっているそう。現地ではいちご狩りができる農園もあったりします。

あまりにおいしそうだったのでいちばん大きなパックを選んだら、やさしそうな店主さんが値引きしてくれました!このいちごも大湖産。旬の時期には手頃な価格で手に入れることができますし、街なかの小さなお店やトラック屋台などでも販売しているのをよく見かけます。

そのほか、酸味のあるものや辛いものを食べすぎないようにするのも、立春に大切な食養生の考え方です。

【今回のお買い物スポット】台北・東門市場

台北の有名な観光地である永康街からも徒歩でアクセスできる東門市場は、庶民的ながら上質な食材がそろう伝統市場として、地元の人たちに愛されています。

市場は東西に広がっていて、のんびり歩きながら野菜やお肉、魚介のラインナップをチェックして、気に入ったものはその都度買い、最後に小吃(台湾のちょっとしたローカルフード)やお惣菜を買って帰るのが定番のコース。

屋根のある市場の中心部では、早朝からお昼すぎまでたくさんの専門店が営業していて、朝ごはんを食べさせてくれるお店、テイクアウトできるお惣菜店なども点在しています。とてもにぎやかで、私も行くたびにエネルギーをもらえる、好きな市場のひとつです。

東門市場については、下記の記事もどうぞ。

春に食べたい薬膳レシピは、こちらをどうぞ。

Mizua

旅行雑誌の編集者兼ライター、週末バー店主を経て、現在は大好きな台湾での生活を楽しんでいます。本サイト「旅のあと ふたりのレシピ」運営のほか、台湾情報ブログも...

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