【台湾でたのしむ二十四節気】
小寒におすすめの過ごし方と食養生【台北・安東市場】
「台湾でたのしむ二十四節気」について
「台湾でたのしむ二十四節気」は、台湾・台北で暮らす筆者が季節の暮らしや料理について記録していく記事2本立てのシリーズです。
毎回、ひとつめの記事では、その時期におすすめの過ごし方や食べるとよい食材などを、東洋医学および薬膳の考え方にそって記しています。またあわせて、実際に食材を購入した台湾の伝統市場やスーパーマーケット、ファーマーズマーケットなどもご紹介。
そしてふたつめの記事では、台湾でみつけた旬の食材を使ったお料理や、季節の食卓の楽しみ方をご紹介していきます。
先回、冬至の記事はこちら。
【台湾でたのしむ二十四節気23】小寒(新暦 1月5日頃)
旧暦において一年の季節を24に分けたものが二十四節気、それをさらに細かく分けたものが七十二候です。
冬至をすぎると、一年でもっとも寒さがきびしくなるといわれる「小寒」がやってきます。日本では新年を迎えてフレッシュな気持ちで日々をおくることができるタイミング。台湾では春節を目前にひかえて、ホリデーシーズンの準備をするための大切な時期でもあります。
小寒の期間の七十二候は、以下のとおりです。
初候 芹乃栄 せりすなわちさかう
次候 水泉動 しみずあたたかをふくむ
末候 雉始雊 きじはじめてなく
春の七草のひとつにも数えられる芹(せり)がさかんに生えて茂るようになり、凍っていた泉が少しずつ動きはじめる時期とされています。「雉も鳴かずば撃たれまい」という言葉があるように大きな声で鳴く雉(きじ)は、このあたりから姿を見せはじめ、3〜4月頃になるとさかんに鳴くようになります。
台湾は一年を通して温暖な気候だと思われがちですが、北部は最高気温が10度を下回ることもあり、特にこの時期は寒さのピークです。人々は家族や友人たちと連れ立って火鍋を食べたり、各地にある温泉に行ったりして冷えた身体をあたためています。
冬に食べたくなる辛い火鍋についての記事も過去に書いています。ご興味のある方はどうぞご覧ください。
小寒におすすめの過ごし方
小寒の時期に入ることを「寒の入り」といいますが、本格的な寒さがやってくることで身体は冬眠状態になり、代謝もどんどん低下していきます。おうちでは半身浴や足湯でリラックスしつつ温まったり、ヨガやストレッチをしたり、アロマオイルを使った手足のマッサージなどで気分転換するのもよいですね。
外出時にはしっかりと防寒対策をして、特に首元や足元を冷やさないように気をつけましょう。また、乾燥しやすい時期でもあるので、白湯や温かいお茶で喉をうるおしたり加湿器を用いるなどして粘膜を保護することも大切です。
どんよりとした冬の天気も手伝い、気分が落ち込むことの多いこの時期。晴れている日には散歩、ジョギング、そのほか適度な運動を取り入れると、ストレス発散につながります。仕事や家事の合間に深呼吸をして新鮮な空気を身体にとりこむだけでも、気の巡りがよくなり、免疫力がアップするはずです。
小寒に食べるとよいもの
体内のエネルギーをつくりだす「腎」を冬の間にしっかり養っておくと、陽気の高まる春をより元気に迎えることができます。これは「補陽温腎」という東洋医学の考え方で、身体を温める食材および腎のはたらきを助けてくれるような食材をとるのがよいとされています。
ねぎ類、唐辛子、ショウガ、にんにくといった辛味のある食材はもちろんスパイスも身体を温めるのには効果的。これらを鍋料理やスープに加えると、血行だけでなく気の巡りもよくなります。また腎を補う黒い食材(黒豆、きくらげ、黒ごま、黒米、黒糖、黒酢など)も積極的にとっていきたいもの。
滋養強壮効果で腎をサポートしてくれる肉類や海鮮を食べれば、タンパク質もとれて一石二鳥。牛肉、羊肉、マグロ、鮭、海老、牡蠣、貝類などが特におすすめです。そのほか、適度にうるおいを与えてくれる葉もの野菜、れんこん、ヤマイモ、栗、くるみといった自然な甘みを持つ食材もバランスよくとれると理想ですね。
台湾の市場やスーパーマーケットでもよく見かける白身魚。なかでもタイは、これからの時期に旬を迎えるおいしいお魚のひとつです。日本で一般的なマダイやキンメダイなども手に入りますが、台湾中国語では「呉郭魚」、またはティラピアと訳されることも多い「台湾鯛」がもっともポピュラーかもしれません。
まるごと一尾の場合は、揚げてあんかけ野菜ソースをかけて食べたり、台湾風の煮つけや蒸しものにして食べたりします。切り身で売られていることも多く、こちらはスライスして火鍋の食材に用いる、適当な大きさにカットして揚げ焼きするなどの調理法がメイン。
下の記事では、台湾鯛を洋風のコロッケにしていただく「鯛とじゃがいものポルトガル風コロッケ」のレシピをご紹介しています。よろしければこちらもご覧ください。
この時期においしい台湾フルーツで代表的なものは「蓮霧(レンブ)」。亜熱帯から熱帯気候で栽培されておりワックスアップルとも呼ばれるレンブは、台湾では夏と冬、2回の旬があるといわれています。りんごや梨に少し似ていて、甘くさわやかな香りとシャリっとした食感が魅力です。
中医学の考え方では、レンブは「肝」と「心」によい影響をもたらす食材であるとされています。解毒作用があり、体内の余分な水分を排出して新陳代謝を促してくれるほか、精神的なストレスや不安をやわらげて、不眠やイライラを解消する効果も期待できます。
冬におすすめの料理レシピ、こちらもどうぞ。
【今回のお買い物スポット】台北・安東市場
台北市内の中心部、大安森林公園の近くにありながら、のんびりとしたローカルな雰囲気が漂う安東市場。1983年に市場が開かれて以来、市民の台所として長年愛されてきました。大きな建物の1Fが市場になっていて、鮮魚に肉類、果物、お惣菜などの専門店が連なっています。
場内は整備されているので、空調も効いていてとても清潔。各店舗には名前と電話番号が書かれた看板もあり、どんなお店なのかひと目で分かるようになっています。
ここを訪れたらぜひ食べたいのが、人気のある屋台グルメの数々。台北で毎年行われている「台北伝統市場フェスティバル」で第一位に選ばれたことのある惣菜店のほか、海鮮スープ麺や中華弁当のお店なども、連日行列ができるほどの盛況ぶりです。
今の時期にぴったりなお料理のレシピ、こちらもどうぞ。