【台湾でたのしむ二十四節気】
大雪におすすめの過ごし方と食養生【台北・上引水産】
「台湾でたのしむ二十四節気」について
「台湾でたのしむ二十四節気」は、台湾・台北で暮らす筆者が季節の暮らしや料理について記録していく記事2本立てのシリーズです。
毎回、ひとつめの記事では、その時期におすすめの過ごし方や食べるとよい食材などを、東洋医学および薬膳の考え方にそって記しています。またあわせて、実際に食材を購入した台湾の伝統市場やスーパーマーケット、ファーマーズマーケットなどもご紹介。
そしてふたつめの記事では、台湾でみつけた旬の食材を使ったお料理や、季節の食卓の楽しみ方をご紹介していきます。
先回、小雪の記事はこちら。
【台湾でたのしむ二十四節気21】大雪(新暦 12月7日頃)
旧暦において一年の季節を24に分けたものが二十四節気、それをさらに細かく分けたものが七十二候です。
二十四節気の「大雪」は、寒さがどんどん増していき、雪の降りつもる地域も出てくる頃。年末年始に向けてのイベントシーズンの始まりということもあり、慌ただしいなかでもなんとなく華やかで楽しい気持ちになれる時期です。
大雪の期間の七十二候は、以下のとおりです。
初候 閉塞成冬 そらさむくふゆとなる
次候 熊蟄穴 くまあなにこもる
末候 鱖魚群 さけのうおむらがる
冬の雲が空を覆って暗くなるとともに、白い雪がちらちらと舞い始めます。クマやそのほかの動物たちは冬ごもりに入り、鮭が群れとなって川を上っていくのもこの頃です。
台湾では山間部で雪が見られるのみで、都市で生活しているとあまり冬の厳しさを感じることはありません。それでも台北をはじめとする北部では、寒い日では10度前後まで冷えることも。街なかのあちらこちらに冬限定の火鍋のお店もオープンして、アツアツの鍋を囲むお客さんたちで賑わいます。
日本では12月13日が、新年のしたくを始める「正月事始め」にあたります。家のけがれを落とすためにすす払いをして大そうじをするというものですが、現代ではあまり見られない行事になりつつあります。
大雪におすすめの過ごし方
冬の節気として3番目にあたる大雪の時期。睡眠時間をしっかりとってエネルギーをたくわえることで、身体が寒さに対抗できるようになります。天気がよく日差しがあたたかい時間帯には、散歩や軽い運動をして陽の気を取り入れるのがおすすめです。
気温が下がると、脳卒中や心筋梗塞など循環器系の疾患が起こりやすくなります。慢性的な病気のある方や年配の方はもちろん、健康な方でも冬場の保温はとても重要です。首、足元など関節の部分の防寒をすれば風邪をひきにくくなりますし、胃腸を守るために、腹部も常にあたたかくしておくとよいです。
気温の低下によって血行が悪くなるために、腰痛や関節痛に悩まされたり、冷えによるだるさを感じたりすることも多いこの時期。お風呂や足湯で疲れをとりつつ、体内の毒素をデトックスして巡りをよくしたいものですね。
大雪に食べるとよいもの
冬の間は、内臓のはたらきを高めて抵抗力をつけるために「腎」を養うことが重要とされています。黒豆、きくらげ、黒ごま、海藻類、黒米、黒糖といったいわゆる黒い食材もおすすめ。また、ヤマイモ、さつまいも、くり、ナッツ類などのほくほくとした甘みのある食材、滋養強壮効果のある牛肉、羊肉、エビなども腎のはたらきをサポートしてくれます。
身体の巡りをよくしてくれる温性・熱性の食材は、冬には欠かせません。玉ねぎ、ねぎ、唐辛子、ショウガ、にんにく、スパイス類などもその筆頭です。とはいえ、とりすぎも乾燥や肌のトラブルの原因に。辛いものや鍋料理を食べるときは、旬の葉野菜または身体をうるおす冬瓜、大根などの野菜をあわせてとるように心がけましょう。
日本ではもちろん台湾でも、冬は葉野菜の季節! 市場やスーパーマーケットにもたくさんの種類が並び、料理に合わせて選ぶのがとても楽しいもの。ビタミンやミネラルが豊富でたっぷり食べても太らないので、美容やダイエットの強い味方でもあります。
葉野菜のなかでも最近よく食べているのが春菊! ほろ苦くて独特な風味があって、お浸しや和えものにしても、スープに入れてもおいしいですよね。
台湾の春菊は「茼蒿(トンハオ)」と呼ばれていて、いくつかの種類があります。写真のものは日本で見かけるものと同じタイプ。ほかに、葉の先っぽが丸みをおびていてレタスのように柔らかいタイプも多く出まわっています。
薬膳の世界では、春菊は気の巡りをよくして水分代謝を高めてくれる野菜とされています。安眠作用があり、イライラをしずめてリラックスさせてくれるほか、胃腸のはたらきを整えるのにも有効なので、この時期には積極的にとるようにしましょう。
下の記事では、春菊や旬の野菜をたっぷり食べられる「関西風すき焼き」のレシピをご紹介しています。よろしければこちらもご覧ください。
冬になって、青果店やスーパーマーケットにはたくさんの柑橘類が並ぶようになりました。みかん、オレンジ、グレープフルーツ、レモン…。カラフルな見た目とフレッシュな香りに元気をもらえます。
先日私が市場で購入したのはきんかん。ころんとしたフォルムにジューシーな果肉が詰まっていて、熟したものは甘みと酸味のバランスがよくとてもおいしいです。
春菊と同様に、きんかんにも気の巡りをよくするはたらきがあります。消化不良や吐き気、二日酔いの改善にも効果を発揮してくれるうえ、喉をうるおして咳やたんを止める作用も。風邪対策にもぴったりなので、毎日少しずついただくようにするのがおすすめです。
今回買ったきんかんは、そのままではまだ酸味が強すぎるので、はちみつ漬けや甘露煮にして食べたいなと思います。ちなみに台湾には、写真のようなオレンジ色のきんかんのほか、緑色をしたすだちのようなタイプもあり。「金桔醬(ジンジージャン)」と呼ばれるきんかんのソースも定番で、お肉や野菜などにかける調味料として使われているんですよ。
冬におすすめの料理レシピ、こちらもどうぞ。
【今回のお買い物スポット】台北・上引水産
今回は、台北市内でもひときわ規模の大きい濱江市場のなかにある「上引水産」というスポットをピックアップ。ここはいくつかの飲食店が併設されたスーパーマーケット。できたてのお惣菜をテイクアウトして、お酒やドリンクを片手にその場で味わえるのが人気の理由のひとつです。
入り口側の広いスペースには大きな水槽がたくさん並んでいて圧巻! タラバガニ、ロブスター、アワビにホッキ貝などさまざまな海鮮をここでオーダーして、さばいてもらうことができます。丸ごと一匹の魚も売られていますし、スーパーコーナーにはパックで気軽に買えるシーフードも充実していて、魚貝好きには天国のよう。
立ち飲みができる寿司バーをぐるりと囲むようにショッピングゾーンがあり、野菜、果物、お花、調味料や高級食材などもまとめて購入することが可能です。生鮮食品の価格は一般的なスーパーと変わらないかむしろ安いくらい。日によってラインナップは異なるので、訪れるのが毎回楽しみな場所でもあります。
今の時期にぴったりなお料理のレシピ、こちらもどうぞ。
ブログ「台湾ほろよいふたりの美食手帖」も不定期に更新しています。
ボージョレ・ヌーヴォー解禁に合わせて、おうち洋食ディナー【ワインごはん】 – 台湾ほろよいふたりの美食手帖
今年もボージョレ・ヌーヴォー解禁日に、お気に入りのショップでワインを調達してきました。