【台湾でたのしむ二十四節気】
立冬におすすめの過ごし方と食養生【台北・第一果菜批發市場】
「台湾でたのしむ二十四節気」について
「台湾でたのしむ二十四節気」は、台湾・台北で暮らす筆者が季節の暮らしや料理について記録していく記事2本立てのシリーズです。
毎回、ひとつめの記事では、その時期におすすめの過ごし方や食べるとよい食材などを、東洋医学および薬膳の考え方にそって記しています。またあわせて、実際に食材を購入した台湾の伝統市場やスーパーマーケット、ファーマーズマーケットなどもご紹介。
そしてふたつめの記事では、台湾でみつけた旬の食材を使ったお料理や、季節の食卓の楽しみ方をご紹介していきます。
先回、霜降の記事はこちら。
【台湾でたのしむ二十四節気19】立冬(新暦 11月7日頃)
旧暦において一年の季節を24に分けたものが二十四節気、それをさらに細かく分けたものが七十二候です。
冬の始まりである「立冬」。日本ではまだまだ晩秋といった気候ではありますが、ひらひらと落ちる紅葉や木枯らし、朝晩の冷え込みに季節の変化を感じられる時期です。
立冬の期間の七十二候は、以下のとおりです。
初候 山茶始開 つばきはじめてひらく
次候 地始凍 ちはじめてこおる
末候 金盞香 きんせんかさく
山茶花(もともとは山茶がツバキの和名であることから)が咲き、大地が凍り始めて霜柱が立つようになるのもこの時期です。また、冬から早春にかけては、雪中花という異名を持つうつくしい水仙が花開き、芳しい香りで私たちを楽しませてくれます。
この時期の年中行事といえば、11月15日の七五三があげられます。7歳、5歳、3歳の子どもの成長をお祝いし、神社やお寺にお参りをするもので、古くは旧暦の11月、その年の収穫を神さまに感謝する行事から始まったといわれています。
立冬におすすめの過ごし方
動物や虫たちが冬眠するように、冬は私たちも活動的になりすぎず、春に備えてゆったりと休息することが必要です。寒さで代謝が悪くなる一方で、エネルギーの消耗は激しくなります。まずはバランスのよい食事をして日々しっかりと睡眠時間をとり、身体を早く回復できるように心がけましょう。
外出時はもちろんおうちにいるときも、防寒対策は欠かせません。頭部や腹部のほか、手首や足首といった関節、意外なところでは背中(肺とつながっているため)もあたたかくしておくと風邪をひきにくくなります。就寝前、寒いときには足湯、湯たんぽ、レッグウォーマーなどを活用して足をぽかぽかの状態にしてからベッドに入ると、寝つきがよくなるはず。
日常生活のなかでストレスをためないようにするとともに、できるだけリラックスして穏やかな気持ちでいることも大切です。日中は太陽の光をしっかり浴びるのももちろんOK。そのほか、適度な運動をして、陽の気を少し取り入れると心身のバランスを取りやすくなります。
立冬に食べるとよいもの
冬を元気に過ごすうえで大切な考え方として、「秋冬は陰を養い、冬は腎を養う」というものがあります。ここでいう腎とは、五臓でいう腎臓、また関連する部位として耳、髪、骨、膀胱なども含むものです。たとえば黒豆、きくらげ、黒ごま、海藻類、黒米、黒糖などの黒い食材は、腎のはたらきをサポートしてくれるといわれています。
身体をあたためて血の巡りをよくしてくれる食材は、玉ねぎ、ねぎ、唐辛子、ショウガ、にんにく、そのほかスパイス類など。体力を消耗しやすく疲れやすいときでもあるので、鶏肉、牛肉、マグロ、鮭、エビといった温性の食材、血を補うほうれん草、牡蠣、牛乳、プルーン、食べてすぐにエネルギーになってくれるイモ類、穀類を適度にとるのもおすすめです。
台湾の市場を歩いていると、葉もの野菜がずいぶん多くなってきたなと感じます。なかでも青菜類は、とにかくたくさんの種類があって、「今日はこれにしようかな」「今回はこれを買おう」と、毎日異なるものを選べるほどのバリエーションがあります。
炒めものはもちろん火鍋やスープ料理に欠かせない食材として、筆頭にあがるのがほうれん草。台湾では「菠菜(ボーツァイ)」と呼ばれていて、一年を通じて安価で手に入る葉野菜です。旬を迎える冬から春にかけては特に栄養価が高くなり、甘みが増してみずみずしく、さらにおいしくなります。
同じく市場で購入したじゃがいもも、秋冬には煮込み料理などで食卓に登場する頻度が上がる食材のひとつ。台湾産のじゃがいもも日本と同様いくつかのタイプがあり、調理法によって使い分けるようにしています。
薬膳の考え方では、ほうれん草は血を補って巡りをよくし、身体をうるおしてくれる食材とされています。肌や目の乾燥、のどの渇き、乾燥による便秘などを解消するはたらきもある反面、冷えやすくなるので、冷え性の方はできるだけ火を通して食べるようにしましょう。
じゃがいもには消炎、解毒作用があり、胃の痛みをやわらげるのにも効果的です。また気を補って脾のはたらきを高める作用があることから、疲れがたまっているときにぴったりの食材といえます。
下の記事では、「鶏ももとほうれん草の豆乳みそグラタン」のレシピをご紹介しています。よろしければこちらもご覧ください。
台湾で冬場に旬を迎えるフルーツはいくつかありますが、夏に比べるとやや地味な印象のものが多いかもしれません。たとえばちょっと不思議な見た目をした「釈迦頭(日本語ではしゃかとう、またはバンレイシ)」と呼ばれるフルーツ。どんな味かあまり想像できないこともあって、台湾旅行に来たときに食べた経験がある方は少ないのでは?
白っぽい果肉はねっとりとしていて甘く、カスタードのようなクリーミーな味わい。一般的には適当な大きさにカットしてスプーンですくって食べることが多いです。また、上の写真のように外側がうろこのようになっているタイプは、熟していれば手でちぎりながら食べることもできます。
食物繊維やビタミン、カリウムが豊富で美容や老化防止にもよいとされる釈迦頭ですが、薬膳食材としてもなかなか優秀。脾・胃のはたらきをサポートして消化を助け、身体を冷ましてデトックスを促進させる作用もあります。
冬におすすめの料理レシピ、こちらもどうぞ。
【今回のお買い物スポット】台北・第一果菜批發市場
ある週末の朝7時ころ、萬華エリアにある第一果菜批發市場をはじめて訪れてみました。ここはいわゆる中央卸売市場のような場所で、早朝3時からお昼まで営業しています。台湾各地からあつめられた新鮮な野菜や果物がせりにかけられ、伝統市場やスーパーマーケットなどに出荷されていきます。
MRTの最寄り駅がなくバスかタクシーで行くしかないのですが、一般の人たちも中に入ってお買い物を楽しむことができます。場内に入ってみると、その広さに圧倒されるはず! 大きく野菜ゾーンと果物ゾーンの2つに分かれていて、荷台付きの車やバイクがせわしなく行き交うなかを、気をつけながら歩く必要があります。
巨大な市場をゆっくり見てまわった後は、近くの魚市場や周囲に広がる場外市場(富民路あたり)もチェックしてみて。市内中心部の整備されたローカルマーケットとはまったく異なる、ディープな雰囲気を楽しむことができます。飲食店はもちろん屋台も多いので、朝ごはんを目当てに訪れてみるのもよいかもしれません。
今の時期にぴったりなお料理のレシピ、こちらもどうぞ。