伝統市場でいただく
客家の名物グルメ、粄條【新竹・新埔鎮】
客家文化に出合える場所、新竹・新埔鎮
台湾の食や文化を現地で学び、文字と写真で発信していく「ミニュイの台湾シリーズ」。詳しくは第一回記事(台湾の食と文化を伝える、ミニュイの台湾シリーズ)をご一読ください。
チャオさんに連れられて、新竹の新埔鎮という場所にある客家の伝統市場を訪れたときの記録。過去記事1(客家の伝統市場へはじめてのお出かけ【新竹・新埔鎮】)、そして過去記事2(市場で見つける客家の伝統食材【新竹・新埔鎮】)の続きです。
客家のおかあさんがつくるお米のおやつ
新埔鎮の第一公有市場には、小さなお店ごとに、たくさんのおいしい食材や手づくりのお惣菜が並びます。
客家料理の特徴について、先回の記事では「食材を干したり漬けたりして保存食にしたものを取り入れること」と紹介しました。もう一つの大きな特徴は、お米や米粉を使った料理のバリエーションが豊かであることです。
「粢粑」と呼ばれるお餅や「菜包(野菜まん)」、甜粄と呼ばれるライスケーキ…。甘いものに関してはよもぎや黒糖などが使われていることも多く、日本の和菓子との共通点も見出せそう。
途中で立ち寄ったお店で、菜包を購入して食べてみました。外の皮はまさにお餅といった感じ。台湾でよく食べるふかふかの肉まんや野菜まんとは、まったく異なる食べものです。
中には干し大根がぎっしりと入っていて、ひき肉やしいたけの旨みと胡椒のスパイシーさが絶妙!
立ち位置としては、長野のおやきが近いのかしら?朝ごはんやおやつにパクパク食べるもののようですが、お酒好きな私たち夫婦にとってはどう考えてもおつまみでした…。次に買ったときは、ビールに合わせてみたいなあ、なんて思うのでした。
客家の伝統グルメ、粄條で朝ごはん
チャオさんに「客家の朝ごはんを食べられるところに連れて行ってあげるよ」と言われて、辿り着いたのが「日昇飲食店」。粄條と呼ばれる麺が看板メニューの、市場内にある老舗店です。
粄條とはお米でつくった平打ちの麺で、日本でいうきしめんのようなものです。スープ麺ももちろんありますが、今回は乾麺(スープなし)で。茹でたての粄條とお肉、もやし、ニラ、たれなどを混ぜ合わせていただきます。
つるつるとした麺の食感にピリ辛の具材がマッチして、まるでパッタイを食べているよう。朝ごはんはもちろん、お酒片手に味わってみたい絶品メニューでした。
一緒に食べた「嘴邊肉(ほほ肉)」のスライスは、熱炒(台湾式居酒屋)や滷味(台湾風煮込み)のお店でもよく食べられるおつまみのような料理。たっぷりの生姜と合わせるとさらにおいしくて、みんなであっという間に平らげてしまいました。
市場で見つけたおいしいもの
市場内を歩いていると、あちこちで「これを食べてみなさい」「これもおいしいよ」と声をかけられます。
時には野菜、時には老闆娘が手づくりしたお惣菜や調味料を味わいながら、つかの間のおしゃべり。田舎町に遊びに来たような感覚はとても懐かしくて、心が癒されるような気がします。
野菜売り場の一角では、野菜の麹漬けのようなものを味見させてもらいました。チャオさんが購入したものをおみやげに持たせてくれたので、ありがたくいただくことに。
ちなみにこちらは帰宅後、晩酌のお供として味わいました。日本の漬け物とは少し感じが違うけれど、強い甘みとほどよい酸味、独特の香りがクセになるおいしさでした。
別のお店では、自家製の梅漬けのほかに、お米でできたういろうのような甘いおやつも試食。
さらに帰り際に立ち寄ったお店では、何も購入していないけれど「残っても仕方ないから」と茹でたとうもろこしをたくさんもらいました…。台湾のおばあちゃんたちのこういう大らかさ、ほんとうにチャーミングで素敵。
人気の豆腐専門店でおみやげ購入
市場を後にして、最後に近くのお豆腐屋さん「錦興豆腐店」でおみやげを購入しました。「百年老店」と看板にもあるとおり、昔から変わらず地元の人たちに愛されているのだそう。
普通のお豆腐はもちろん、台湾の料理に欠かせない「豆干(干した豆腐)」や「豆漿(豆乳)」も購入可能です。
今回私たちが買ったのは、チャオさんにおすすめされた客家の調味料「豆腐乳」。沖縄の豆腐ようと同様、好き嫌いの分かれる味わいですが…私は大好き。
台湾では、調理に使うのはもちろん、お粥に入れたりおつまみとして食べたりもされているそう。私だったらどんな風に料理に取り入れるかな。少しずつ味わいながら、しばらく研究してみたいなと思っています。
さいごに
客家料理は以前から好きなジャンルの一つでしたが、新竹・新埔鎮を訪れて伝統市場をじっくり巡ったおかげではじめて見聞きしたこともたくさん。
これからも台湾の各地で、客家文化について学びを深めていきたいなと思いました。